ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

イギリス

病を克服した著者がヨーロッパで「祈り」の旅―赤池キョウコ『ヨーロッパスピリチュアル街道を行く!』

今日の更新は、赤池キョウコ『ヨーロッパスピリチュアル街道を行く!』です。 あらすじ・概要 ロンドンに住む著者は、大病をしたことをきっかけに「祈り」について興味を持つようになる。聖水の街、ルルドや癒しの奇跡の伝説を持つ教会を巡り、ケルトの伝説…

ヨハネ黙示録をテーマにしたトンチキコメディ―ニール・ゲイマン『グッド・オーメンズ』

今日の更新は、ニール・ゲイマン『グッド・オーメンズ』です。 あらすじ・概要 黙示録に予言された「反キリスト」が誕生し、世界の終わり、ハルマゲドンが近づいていた。しかし天使のアジラフェールと悪魔のクロウリーは、人間社会を好きになってしまってい…

奴隷少女に男がカウンセリングされる―周藤蓮『賭博師は祈らない』

今日の更新は、周藤蓮『賭博師は祈らない』です。 あらすじ・概要 賭博師のラザルスは、意図せず博打で大勝ちしてしまい、賭場に目を付けられないために高額商品である奴隷を買って帰った。リーラという奴隷はラザルスのメイドとして家事をすることになった…

イギリスの羊飼いが語る、美しいだけではない湖水地方―ジェイムズ・リーバンクス『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』

あらすじ・概要 600年以上続く羊飼いの一族に生まれた著者。ユネスコの仕事をしながら、自分の農場の羊を追っている。風光明媚なイギリス湖水地方の風景とは裏腹に、その仕事は過酷そのものだ。一家の歴史や、生き物相手の重労働、羊飼いの誇りを賭けた品評…

王家を中心としたイギリス史ダイジェスト―池上俊一『王様でたどるイギリス史』

今日の更新は、池上俊一『王様でたどるイギリス史』です。 あらすじ・概要 現在は立憲君主制の国イギリス。その王家はいつからあるのか、どのような歴史をたどってきたのか。アングロ・サクソンの時代から、現在のエリザベス女王の御代まで、イギリスの国王…

名前を取り戻した少年がロンドンを救う―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス プトレマイオスの門 下』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス プトレマイオスの門 下』です。 今までの記事はこちら。 性格の悪い少年が妖霊を召喚して秘宝を盗む―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 上』 かっこいい危機と自業自得な危…

自分がクズだと気づいた魔術師マンドレイク―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス プトレマイオスの門 中』

今日の更新は、『バーティミアス プトレマイオスの門 中』です。 今までの記事はこちら。 性格の悪い少年が妖霊を召喚して秘宝を盗む―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 上』 かっこいい危機と自業自得な危機と―ジョナサン・ストラ…

疲れた妖霊、いやいや魔術師に従う―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス プトレマイオスの門 上』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス プトレマイオスの門 上』です。 これまでの記事はこちら。 性格の悪い少年が妖霊を召喚して秘宝を盗む―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 上』 かっこいい危機と自業自得な…

お屋敷で働く老執事の取り返せない過ち―『日の名残り(映画)』

今日の更新は、実写映画のほうの『日の名残り』です。 一度見たいと思っているときに、Amazonで有料レンタルなのを見つけて借りました。 あらすじ・概要 ドライブ旅行に出た老執事は、過去を回想し始める。ダーリントンのお屋敷で働くスティーブンス。そこに…

魔術都市プラハとグラッドストーンの墓泥棒―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス ゴーレムの目 中』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス ゴーレムの目 中』です。 これまでの記事はこちら。 性格の悪い少年が妖霊を召喚して秘宝を盗む―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 上』 かっこいい危機と自業自得な危機と―…

こんなことってある!? うならされた本―カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』

今日の更新は、カズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』です。 あらすじ 上海の租界で育った主人公クリストファー・バンクス。彼は探偵となって謎の失踪をとげた両親を探していた。あまたの難事件を解決して上海に戻ってきた彼は、そこで両親の失踪…

人間を助けてしまうバーティミアスが愛しい―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 下』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 下』です。 あらすじ ナサニエルは、復讐のためエリート魔術師ラブレースの陰謀を暴こうとする。それにしぶしぶ従うバーティミアス。サマルカンドのアミュレットは、何のために使…

かっこいい危機と自業自得な危機と―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 中』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 中』の感想です。 前巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com 巻が進むにつれて表紙のポーズが変わるのかっこいいですね。 あらすじ 敵に捕まってしまったバーティミアス。…

性格の悪い少年が妖霊を召喚して秘宝を盗む―ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝 上』

今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝』の再読感想です。 あらすじ ジンのバーティミアスを召喚したのは、十二歳の少年魔術師ナサニエル。彼は自分に恥をかかせた魔術師に復讐すべく、バーティミアスにアミュレットを盗…

ヴィザと財産狙いのウクライナ美女から父を救え―マリーナ・レヴィツカ『おっぱいとトラクター』感想

今日の更新は、マリーナ・レヴィツカ『おっぱいとトラクター』です。 『トラクターの世界史』に引用されていて興味を持ちました。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 84歳の父は、35歳のウクライナ人の美女と結婚すると言ってきた。どう考えても財産目…

プロのやる大真面目な二次創作―『高慢と偏見とゾンビ』感想【AmazonPrimeビデオ】

今日の更新は、『高慢と偏見とゾンビ』です。 小説の方の『高慢と偏見』を読んだら見てみたかった作品です。 あらすじ ゾンビが徘徊する世界。地主階級に生まれたエリザベスは、ビングリ―とダーシーという男性に出会う。エリザベスはゾンビを倒すことを第一…

現代人にも共感できる世知辛いロマンス―オースティン『高慢と偏見(下)』(光文社古典新訳文庫)感想

今日の更新は、オースティン『高慢と偏見(下)』です。 パソコンのキーボードがぶっ壊れたため、しばらくブログが書けませんでした。なんとか毎日更新を崩さずに済みました。 上巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ ダーシーの告白を拒…

自分を縛る偏見を乗り越えることができるか―オースティン『高慢と偏見(上)』(光文社古典新訳文庫)感想

今日の更新は、オースティン『高慢と偏見』です。 いろいろバージョンがあるので、タイトルにレーベル名を入れておきました。 あらすじ 聡明で理知的なエリザベスは、近所に引っ越してきた青年ビングリーとその友人ダーシーと知り合う。エリザベスは、ダーシ…

トラクターの技術は世界をどう変えたか―藤原辰史『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』感想

今日の更新は藤原辰史『トラクターの世界史』の感想です。 とあるブログで紹介されていて興味を持った本です。 書籍概要 畑を自動で耕す道具、トラクター。その発達は農業だけでなく、社会全体を変えた。各国のトラクターの歴史を振り返りつつ、トラクターが…

パンをひたすら食べ続けているだけで面白い―山本あり『世界ぱんぱかパンの旅<ロンドン編>』感想

今日の更新は、『世界ぱんぱかパンの旅<ロンドン編>』です。 ちょっと本を読む体力がないので、さらさら読めるコミックエッセイを消化している今日この頃……。 あらすじ パンが大好きな著者は、友人と共にロンドンに向かい、パンづくしの旅に出る。果たして不…

100年前のラブコメ戯曲『ピグマリオン』がめちゃくちゃ面白かったから話を聞いてほしい【ネタバレ含】

今日の更新は、バーナード・ショー『ピグマリオン』です。 100年前の本にネタバレも何もないんだけど、まあ一応……。 あらすじ 偏屈でわがままな言語学者ヒギンズ。彼は訛りのひどい、下町の花売り少女を貴婦人に仕立て上げられるか賭けをする。花売り少女イ…

恋愛脳の主人公に厳しい周囲の人たち―チャーリー・N・ホームバーグ『硝子の魔術師』

今日の更新はチャーリー・N・ホームバーグ『硝子の魔術師』です。 タイトルはダブルミーニング。 前回の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ セイン師のもとで、紙の魔術の修行をするシオニー。彼女が見学していた紙の工場が、何者かによって…

見習い魔術師が、紙の魔法で師匠を救う チャーリー・N・ホームバーグ『紙の魔術師』感想

あらすじ 魔術が高度な専門技術とみなされている1900年代初めのロンドン。魔術師養成学院を卒業したシオニーは、金属の魔術師になりたかったのに、人気のない紙の魔術の実習を命じられた。そのうえ師匠の折り師セインは変わり者。だが気の進まない勉強を続け…

妖精の国から落ちてきた先はロンドンでした 縞田理理『霧の日にはラノンが視える』感想記事まとめ

あらすじ 一族にかけられた呪いから逃れるため、ロンドンにやってきた少年ラムジー。そこでジャックという男性に助けられる。彼は実は、妖精の世界からやってきた人で……。妖精郷ラノンから流された人々が織りなす現代ファンタジー。

時を越えて知ったラノン誕生の真実とは 縞田理理『霧の日にはラノンが視える4』感想

あらすじ ラノン人を騙し連れ去ったフィアカラを追ってクリップフォード村にやってきたジャックたち。フィアカラはクリップフォード村のストーンサークルを使って、途方もない願いを叶えようとしていた。ジャックはそれを止めるために時空を超える。

悪徳魔法使いに騙されたラノン人を救え 縞田理理『霧の日にはラノンが視える3』感想

このシリーズ、イラストの本文再現度が高くて好きです。 あらすじ クリップフォード村にあった遺跡が返還され、周囲では妖精騒ぎが起きる。一方魔術者フィアカラが口車で同盟を乗っ取り、危機的な状況に。ジャックやラムジーはラノン人たちを救おうと行動を…

変人に描かれているシャーロックはやっぱり変人 アーサー・コナン・ドイル『シャーロック・ホームズ全集1 緋色の習作』感想

あらすじ 見知らぬ男とルームシェアをすることになった、元軍医のワトソン。同居人シャーロックは、警察の捜査に協力する諮問探偵だった。やがて毒殺事件が起こり、シャーロックはその解決に乗り出す。

狼になって葬儀社から消えた死体探し 縞田理理『霧の日にはラノンが視える2』感想

二巻目です。 あらすじ ラノン人の運営する葬儀社で死体が消えた。死体が見つからなければ大騒ぎになってしまう。ラムジーは狼の姿になり、死体の行方を追う。「妖精たちの午後」と「ネッシーと《風の魔女》」「キス&ゴー」を収録。

人の世界で生きる妖精たちの、二転三転する事件 縞田理理『霧の日にはラノンが視える1』感想

あらすじを見て気になっていた作品です。表紙もパール系の紙できらきらしてて綺麗です。 あらすじ 第七子の呪いを解くため家出してロンドンに向かったラムジー。そこでジャックという青年に拾われる。だがジャックの仲間が殺人を犯し、ラムジーは奇妙な事件…

謎めいた展開から、読者を突き放す G・J・チェスタトン『木曜の男』感想

いくつかのブログで紹介されていたので気になった本です。 いや~読むのが難しかった。 あらすじ 無政府主義者の団体の幹部「木曜」になった主人公は、そこで奇妙な体験をする。そこにちらつく自分たちのボス「日曜」の存在。果たして彼は何者なのだろうか。