ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

戦争

『イラクの戦場で学んだこと』岸谷美穂 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 紛争地帯の人々を支援するNGOで働く著者は、20代にしてイラクの紛争地域に行き、現地チームのリーダーとなる。現地スタッフとのコミュニケーションに悩み、政治のごたごたに巻き込まれ、戦争や治安悪化により自らの命もあやうくなる。 紛争地…

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』ロケット商会 電撃の新文芸 感想

あらすじ・概要 勇者となることが刑罰として扱われている世界。懲罰勇者のザイロは、なりゆきで魔王討伐の武器である「女神」と契約してしまう。ザイロたち懲罰勇者は、絶望的な作戦を任される。 ろくでもない男たちが魔王を倒す ろくでもない男ばっかり出て…

【フランス国民を魅了した英雄の栄光と挫折】池田理代子『皇帝ナポレオン』感想

あらすじ・概要 革命後のフランス。王政を倒したのはいいものの、権力を狙う人々の思惑が錯綜し、政治は混乱していた。そんな中、軍人ナポレオンが現れる。彼は圧倒的なカリスマ性と、指揮の才能によって、権力の階段を駆け上がる。 人々を魅了した天才の転…

【女性キャラが男性の衣装を着て戦争に従軍】ディズニーアニメ『ムーラン』

あらすじ・概要 とある国で異民族の侵略が始まり、男たちは徴兵されていった。少女ムーランは、体調が悪い父親に代わり男装をして軍に入る。そこで厳しい訓練を受け、兵士となった。ついに本格的な戦闘が始まり、ムーランは機転を利かせて武功を上げる。 男…

壁の向こう側には過酷な現実を生きる街がありました―りえぞう『パレスチナに行ってみた』

あらすじ・概要 イスラエルを観光した著者は、その後パレスチナ自治区へ向かう。イスラム教徒たちが暮らすはずのその場所は、イスラエル軍による厳しい監視がなされていた。著者は宗教施設や歴史的な場所を巡りつつ、パレスチナの今について考える。 ただ町…

大国の思惑に振り回される、政情が不安定な国視点で歴史漫画を描いたら―池田理代子『天の涯まで ポーランド秘史』

あらすじ・概要 ポーランド国王の甥、ユーゼフは母親に愛されず、鬱屈した日々を送っていた。折しもポーランドは政情が不安定な中、領土拡大を狙う周囲の国々の圧力や干渉に悩まされていた。ユーゼフは国の将来を憂い、ポーランドを自立した国にしたいと思う…

飛行機バカたちの暮らしにも戦争の終わりがやってくる―須賀しのぶ『天翔けるバカ We Are The Champions』

あらすじ・概要 航空機で戦うリックたち。戦争は徐々に激化し、騎士道精神が生き残る空軍にも暗い影を落とし始めていた。そんな中、リックの元婚約者でロードの兄に嫁いだレイチェルからから「従軍看護婦になった義妹を説得してほしい」と便りが来る。ロード…

婚約者にふられて空軍の傭兵部隊に志願した男がエースパイロットを目指す―須賀しのぶ『天翔けるバカ flying fools』

あらすじ・概要 幼なじみにふられて売り言葉に買い言葉に、空軍の傭兵部隊にに入隊したリック。そこは、変わり者の巣窟だった。曲芸飛行で培った飛行技術も、ここでは通用しない。それでもリックは勝ち気で図々しい性格を生かし、部隊でエースパイロットにな…

食いしん坊の妃が、略奪婚させられてそこで生きる道を探す―喜咲冬子『流転の貴妃 或いは塞外の女王』

あらすじ・概要 皇帝の貴妃の中で一番の不美人だったことから、異民族の王に外交の道具として嫁ぐことになった柴紅玉。しかしその婚礼へと向かう途中で襲われ、略奪された先の氏族で「妻」になるはめになる。そこでめあわせられたのは、アマルという年下の少…

戦記ものになってもきっちり面白い少女小説―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫3 騎士と掲げるグラジオラス』

今日の更新は、『花冠の王国の花嫌い姫3 騎士と掲げるグラジオラス』です。 あらすじ・概要 極寒の国ラハ・ラドマも夏季になり、再び花粉症に苦しむフローレンス。そんな中、大砂漠帝国が攻めてきたという知らせが届く。ふたりは侵攻を受けた騎士団領へ救援…

私とエーデルガルトの間に割り込むヒューベルトとかいう従者について【FE風花雪月プレイ日記その1】

今日の更新は、ファイアーエムブレム風花雪月プレイ日記と見せかけたヒューベルトへのお気持ちブログです。 おことわり この記事にはカップリング要素が含まれますが、ファイアーエムブレム風花雪月がカップリング要素を含むゲームであることを鑑み、そのま…

デマや不穏投書から見る銃後の人々―川島高峰『流言・投書の太平洋戦争』

今日の更新は、川島高峰『流言・投書の太平洋戦争』です。 あらすじ・概要 民衆を苦しめた太平洋戦争。戦地に行った兵隊を支える「銃後」の中で人々は何を考え、どう行動したのか。当時の流言・投書を『特高月報』や人々の日記から抜粋し、開戦から終戦まで…

少年兵への憎悪と庇護の間で揺れる軍人がつらい『ヒトラーの忘れもの』感想

今日の更新はドイツ・デンマークの映画『ヒトラーの忘れもの』です。 Amazonからビデオのクーポンをもらったのと、週末100円セールがあったのでレンタルを買ってみました。 あらすじ WWⅡ終結間もないデンマーク。捕虜になったドイツの少年兵たちが、砂浜で地…

強制収容所を生き延びた父親との断絶 アート・スピ―ゲルマン『マウス アウシュヴィッツを生き延びた父親の物語』再読感想

久しぶりに読み返したくなった漫画です。 あらすじ ポーランドの町々にカギ十字の旗が翻った。ごくふつうの暮らしをしていたユダヤ人たちは、その日からナチスの脅威にさらされていく。ゲットー。隠れ家。闇市。裏切り。収容所。死の恐怖。脱出行。…日々の営…

双子が戦争の中の街で悪行を行う アゴタ・クリストフ『悪童日記』感想

あらすじ 母親によって祖母に預けられた双子。おりしも国は戦争の真っただ中だった。彼らは生き延びるため、さまざまな訓練を積む。貧困と搾取と暴力のはてに、双子が選んだ結末とは……。

戦争を生き延びたある女性の「普通」な毎日 こうの史代『この世界の片隅に』前後編感想

映画が面白かったので原作も読むことにしました。 表紙の画材は水彩かなあ。 あらすじ 広島から呉へと嫁いだすず。夫とその家族とおだやかに暮らすが、その端々に戦争の影は迫っていた。やがて呉への空襲が始まり、一家は毎日のように防空壕に潜る。そして、…

イランの少女から見た戦争、思想弾圧、戦火の日常 マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』1、2巻感想

あらすじ イランに生まれた少女マルジことマルジャン。革命がおこったイランは、不穏な空気に包まれていた。日常的に人がいなくなり、投獄され、拷問され……。マルジの自由な性格に危険を感じた両親は、マルジを国外に出す。

何気ない日常の中に描かれる「被爆者である」悲しみ こうの史代『夕凪の街 桜の国』感想

『この世界の片隅に』が面白かったので原作者の本も読んでみたいなと手に取りました。 手に取って初めて意外と薄い本だと知りました。 あらすじ 原爆投下から10年経った広島。皆実は貧しいながらも穏やかな日常を生きていた。しかし原爆の記憶が、彼女の生…

幸せに生きることこそ戦いだ 『この世界の片隅に』感想

『この世界の片隅に』を見てきました。戦争映画だからか、来てる人の年齢層が高かったです。これからアニメ好きの人に限らず、戦争を知りたいと思っているいろんな世代の人に流行りそうですね。 語っていたらネタバレも含んでしまったのでご注意ください。 …

ソマリアに恋してソマリアに傷つき 高野秀行『恋するソマリア』感想

『恋するソマリア』を読みました。 ワセダ三畳青春記を読んで興味を持ったので手に取ってみました。 恋するソマリア 作者: 高野秀行 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/01/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (12件) を見る あらすじ 「アフリカ…

エリザベスVS無敵艦隊 『エリザベス ゴールデンエイジ』感想

『エリザベス ゴールデンエイジ』を見ました。 映画 『エリザベス:ゴルデン・エイジ』 予告編 あらすじ 処女王、エリザベスのもとで統治されているイギリス。子どものいないエリザベスに変わり、メアリ・スチュワートを女王にしようという動きが出てきます…

虐殺を作り出す言語とは 伊藤計劃『虐殺器官』感想

『虐殺器官』を読みました。 読みたいと思いつつ、ヒネてるので流行りのものにはすぐ手出しできなかったのでした。 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 伊藤計劃 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/02/10 メディア: 文庫 購入: 75人 クリック: 954回 こ…