ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

『ルポ 高学歴発達障害』姫野桂 ちくま新書 感想(と自分語り)

あらすじ・概要 高い知能を持ちながら、日常生活や仕事に困難を抱える高学歴発達障害の人々。自身も発達障害である著者は、高学歴発達障害の人々に取材し、その悩みについて耳を傾ける。今苦しんでいる人、苦しみから抜けて居場所を見つけた人、それぞれの現…

『執筆中につき後宮ではお静かに 愛書妃の朱国宮廷抄』田井ノエル ポプラ文庫ピュアフル 感想

あらすじ・概要 小説家になりたい女性、青楓は、妹の代わりに後宮に上がることになる。執筆に集中したいのだが、後宮の陰謀に巻き込まれてしまう。皇帝のお召し(肉体関係はない)のこともあり、周囲に嫉妬されたり、反感を買われたりで……。 才色兼備だけど…

『JK、インドで常識ぶっ壊される』熊谷はるか 河出書房新社 感想

あらすじ・概要 家庭の事情でインドに移住することになった著者家族は、インドの文化の違いにカルチャーショックを受ける。インドの宗教や食文化、貧困や犯罪の問題。やがで著者はボランティアサークルに所属し、そこでの活動から社会のと関りや、社会にとっ…

『ミモザの告白2』八目迷 ガガガ文庫 感想

あらすじ・概要 咲馬と無理やりキスしてしまった汐(うしお)。それ以来ふたりはぎくしゃくしてしまう。そんな折、文化祭で「ロミオとジュリエット」の劇を上演することになり、咲馬と汐はロミオとジュリエットの役をすることになる。クラスメイト、星原も含…

『報道被害』梓澤和幸 岩波新書 感想

あらすじ・概要 事件のときに巻き上がる、被害者家族や近隣の人への報道被害。過剰な報道はどのように生まれ、どう人々を侵害するのか。報道被害への研究を通して、マスメディアが本当に報道すべきことは何か見えてくる。マスメディアと人々の関係を書いた本…

『発達障害 思春期からのライフスキル』平岩幹男 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 できないこととできることに差がある、空気が読めない、聴覚や嗅覚が過敏である……。さまざまな困難を抱える発達障害の人々。発達障害の若者とその周囲のために、心がけたいこと、工夫すべきことを解説する親書。 広く浅くだが発達障害の困り…

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録Ⅲ』ロケット商会 電撃の新文芸 感想

あらすじ・概要 懲罰勇者一行は第二王都へ向かう。そこでまた、やっかいな仕事を任されるが、侮蔑の対象である懲罰勇者は他の人間たちの協力を得るのも難しい。一方で、人間たちも、魔王現象に従うものと抵抗を続ける者とで分断され始めていた。 自分のこと…

ハロウィンに読みたい!人外キャラが魅力的な小説34選

たまには季節ものの記事を書こうということで、今回はハロウィン人外小説特集です。 普段からライトノベルを読んでいるため圧倒的にライトノベルが多くなってしまいました。 ファンタジー 『おちこぼれ退魔師の処方箋』田井ノエル 『となりの魔王』雪ノ下ナ…

『トルコ 建国一〇〇年の自画像』内藤正典 岩波新書 

あらすじ・概要 イスラーム国唯一の世俗主義を掲げ、今日まで存在してきたトルコ。その内側には、宗教と政権の対立、クルド人をはじめとする国内のマイノリティへの苦悩が渦巻いていた。国内外の困難と、それに立ち向かおうとするトルコの人々。ニュースでは…

『ミュージアムを知ろう 中高生からの美術館・博物館入門』横山佐紀 なるにはBOOKS別巻 感想

あらすじ・概要 人々に美術や文化、歴史を学ぶきっかけをくれるミュージアム。学芸員や芸術家たちは、展示の可能性を模索してきた。一方で、美術館や博物館には、負の歴史もあった。ミュージアムのいままでとこれから、そして展望を書く。 ミュージアムの過…

『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』ロケット商会 電撃の新文芸 感想

あらすじ・概要 勇者となることが刑罰として扱われている世界。懲罰勇者のザイロは、なりゆきで魔王討伐の武器である「女神」と契約してしまう。ザイロたち懲罰勇者は、絶望的な作戦を任される。 ろくでもない男たちが魔王を倒す ろくでもない男ばっかり出て…

ライト文芸から歴史ものまで 角川文庫のおすすめ本15選

今回のまとめ記事は、角川文庫のおすすめ本について書きました。 ライト文芸から純文学、翻訳まで、広い分野の本を出しているレーベルです。まとめ記事も雑多な内容になりました。 ファンタジー・SF 『聖女ヴィクトリアの考察』春間タツキ 『アナンシの血脈…

『ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変える』西田宗千佳 講談社現代新書 感想

あらすじ・概要 新しい動画視聴の方法である、各種サブスクリプションサービス。ネットフリックスを中心に、それらのサービス誕生の歴史をたどる。インターネットが変えた、コンテンツ視聴の文化とは……。 各種サブスクサービスの勃興の話 すごく凝った内容が…

『さわっておどろく! 点字・点図がひらく世界』広瀬浩二郎 嶺重慎 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 見ることに困難がある視覚障害の人たち。その人たちが情報を得るため、点字というものが考案された。視覚障害について知ると、他の人たちが見える世界に縛られていることに気づく。文化人類学者と天文学者というふたりの著者の視点から「さわ…

『カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら』岡田尊司 角川新書

あらすじ・概要 発達障害のある人の伴侶がうつや不安障害になってしまうカサンドラ症候群。しかし、家族の声に耳を傾けてみると、発達障害以外の問題を抱えていることは少なくない。親との関係、職場とのストレス、そして、定型発達のはずの伴侶の事情など、…

『病が分断するアメリカ――公衆衛生と「自由」のジレンマ』平体由美 ちくま新書 感想

あらすじ・概要 先進国で最も新型コロナウイルスの被害が大きかったアメリカ。アメリカの反ワクチンや反マスクの思想から、アメリカの分断を語る。アメリカに蔓延する医療、政治への不信感の原因とは……。 公衆衛生に反抗する人たちの事情 楽しい内容の本では…

『有権者って誰?』藪野祐三 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 「選挙に行こう」と呼び掛けてくる大人たち。しかし実際のところ、選挙に行こうとする有権者というのはどのような存在なのか。有権者の定義から、どのような瞬間が有権者の心を動かすのかまで、選挙を学ぶ学生向けの本。 どんな行動が有権者…

『<超・多国籍学校>は今日もにぎやか! 多文化共生って何だろう』菊池聡 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 横浜市には、外国の人、あるいは外国にルーツのある人々が暮らす団地がある。そこにある小学校もまた、外国籍の子どもや親が外国籍の子どもたちを受け入れている。多様な文化を持つ人々を受け入れ、一緒に暮らしていくための、小学校の取り組…

『非正規公務員という問題 問われる公共サービスのあり方』上村陽治 岩波ブックレット

あらすじ・概要 市民の生活を守るはずの行政の現場で、非正規公務員たちが雇用の不安定さや賃金の少なさにあえいでいる。公立学校の非常勤講師や婦人相談員などの例を上げ、これからの行政での雇用を考える本。 待遇の差と雇用の不安定さの間であえぐ 単純作…

水野俊平『台湾の若者を知りたい』岩波ジュニア新書 感想

「台湾は親日、と言われる中で、台湾の文化や生活を知っている日本人は少ない」という意見は本当にそうです。この本は、身近であるはずなのに知らない台湾の若者文化について書かれています。 台湾の抱える国際問題にはさらりと触れただけで、学校制度のこと…

唐沢孝一『都会の鳥の生態学–カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』中公新書 感想

あらすじ・概要 大都会には多くの野生の鳥が暮らしている。わざわざ人間の近くに巣をつくるツバメ、ソメイヨシノの蜜を吸うスズメ、生ごみを漁るカラス、小さな鳥を狙う猛禽。鳥たちの多様でしたたかな生存戦略を紹介するとともに、人間と都市に暮らす動物た…

高橋洋友『自殺予防』岩波新書 感想

あらすじ・概要 ニュースや週刊誌を騒がせる自殺だが、実際どのように自殺を防げばいいかはあまり語られていない。社会や政治の単位でやるべきことや、個人として自殺したがっている人とどう付き合うかまで、精神科医の視点で語る。自殺を望む人を治療に導き…

【フォロワーやバズはSNSマーケティングの必須のものではない】飯高悠太『僕らはSNSでモノを買う SNSマーケティングの「新法則」』

あらすじ・概要 今や生活の一部となっているSNS。マーケティングの担当者として、企業はSNSで何を発信していくべきなのか。SNSの到来で変わった価値観、有効な宣伝方法を会話形式で書いた本。 シェアしたい、誰かにおすすめしたいというコンテンツを作る 逆…

【フランス国民を魅了した英雄の栄光と挫折】池田理代子『皇帝ナポレオン』感想

あらすじ・概要 革命後のフランス。王政を倒したのはいいものの、権力を狙う人々の思惑が錯綜し、政治は混乱していた。そんな中、軍人ナポレオンが現れる。彼は圧倒的なカリスマ性と、指揮の才能によって、権力の階段を駆け上がる。 人々を魅了した天才の転…

【お金がない中で貧困を隠す子どもたち】NHKスペシャル取材班『高校生ワーキングプア「見えない貧困」の真実』感想

あらすじ・概要 貧困の中にいる高校たちがいる。進学費用を払えない、奨学金という借金を背負わされる、制服や体操服のおさがりを他人にねだる……等、苦難を続けている高校生たちに、NHKスペシャル取材班が会いに行く。 貧困の中で貧困を隠す子どもたち 貧困…

【パチンコにハマっていく東日本大震災の被災者たち】古川美穂『ギャンブル大国ニッポン』感想

あらすじ・概要 出口の見えない生活の中、パチンコにハマっていく東日本大震災の被災者たち。人は心が弱ったとき、依存症に陥りやすい。著者は日本のパチンコ政策への矛盾や、パチンコへ行くことの容易さの点を指摘する。ギャンブル依存症が多い国として、ギ…

【軍事学者が語る、侵略国家になってしまった国の日常と文化】小泉悠『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』

あらすじ・概要 ウクライナへの侵略によって、「プーチン帝国」と独裁国家として語られるようになったロシア。そこで日常を過ごす国民たちはどんな暮らしをしているのか。軍事学者である著者は、自身のロシアでの生活を振り返りながら、ロシアに生きる人々の…

【文化人類学者がろう者の世界に飛び込んだら違いだらけだった】亀井伸考『手話の世界を訪ねよう』感想

あらすじ・概要 ろう者の世界を想像するときに、つい「聞こえなくてかわいそう」という思考になってしまう。しかし著者がろう者の世界に飛び込んだところ、そこでは豊かなコミュニケーションがなされていた。ろう者のための言語、手話を紹介しつつ、健常者と…

【熱中することを描く、直木賞受賞作】森絵都『風に舞いあがるビニールシート』感想

あらすじ・概要 パティシエのお菓子に惚れ込んでいる人、水商売で働いてでも保護犬活動にのめり込む人、仏像に強い執着を持つ人。人には理解されないものに、夢中になる人たちがいる。ひとつひとつは独立した短編だが、共通して何かが好きという感情に狂わさ…

【「できない」発達障害の子どもたちをどう支えどう共存していくか】河原ノリエ『「ややこしい子」とともに生きる―特別支援教育を問う』

あらすじ・概要 じっとしていられない、読み書きや計算が極端にできない、友達付き合いがうまくいかない……。さまざまな問題を抱える発達障害の子どもたち。本人も周囲も、幸せになるにはどうすればいいのか。発達障害を持つ子を育てた著者が語る、「ややこし…