ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

読書感想

セクハラ親父が大学から放逐された末路―J・M・クッツェー『恥辱』感想

最近更新遅れててすみません。 今日の更新は、J・M・クッツェー『恥辱』です。 あらすじ 女生徒と関係をもって大学を首になった大学教授、デヴィッド・ラウリーは、娘の農場に転がり込む。だがそこでも、強盗に入られる事件があった。親子ふたりの状況は悪化…

ひたすら露悪趣味、でも結構好き―稲庭淳『ラン・オーバー』感想

今日の更新は、稲庭淳『ラン・オーバー』です。 表紙と中身の雰囲気が全く違います。 あらすじ 転校生、湊里香に秘密を握られた伊園は、言われるがままに同棲生活をスタートさせる。彼女は、クラスのいじめの頂点にいるカップルに反撃することを提案した。そ…

片割れへの執着とストーカーダメ絶対―椎名蓮月『あやかし双子のお医者さん六 雪女と遠い日の約束』感想

ちょっと毎日更新が崩れてすみません。ばたばたしているのでまた崩れるかも……。 今日の更新は、椎名蓮月『あやかし双子のお医者さん六』です。 今までの記事はこちら。 無駄のない設定と人物描写であやかしとの交流を描く 椎名蓮月『あやかし双子のお医者さ…

100年前のラブコメ戯曲『ピグマリオン』がめちゃくちゃ面白かったから話を聞いてほしい【ネタバレ含】

今日の更新は、バーナード・ショー『ピグマリオン』です。 100年前の本にネタバレも何もないんだけど、まあ一応……。 あらすじ 偏屈でわがままな言語学者ヒギンズ。彼は訛りのひどい、下町の花売り少女を貴婦人に仕立て上げられるか賭けをする。花売り少女イ…

因習ものを離れてしまったので物足りなかった―今邑彩『翼ある蛇』感想

今日の更新は、今邑彩『翼ある蛇』です。 前巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 英文学翻訳者でフェミニストの沢地逸子のホームページに謎の書き込みがあった。次の日、都内で猟奇殺人事件が起こる。喜屋武蛍子は、姪の火呂がそのホーム…

ご飯を通して思い出す美しい記憶―miobott『上島さんの思い出晩ごはん』感想

今日の更新は、『上島さんの思い出晩ごはん』です。 web小説『ただいま、おかえり、いただきます』の書籍化です。 あらすじ 素性を知らないまま、一緒に暮らしていた男性「上島さん」。しかし彼は交通事故で死んでしまった。民子は彼の思い出をなぞりながら…

大人たちの子どもっぽさが気になる―縹けいか『モーテ 夢の狭間で泣く天使』感想

今日の更新は、縹けいか『モーテ 夢の狭間で泣く天使』です。 あらすじ アミヤがモーテを発症し、自傷行為を行ってしまう。ダンテは、ローマに向かってアミヤの世話をすることに決める。しかし、モーテの症状は、徐々にアミヤをむしばんでいき……。

読み進めるうちに不安になってくる時間SF―法条遥『リライト』感想

今日の更新は、法条遥『リライト』です。 表紙だけ見ると青春ものみたいですね。微妙に違うんですけど。 あらすじ 1992年、未来から来た園田保彦に出会った「私」は、彼を助けるために10年後に飛ぶ。しかし実際の10年後、過去の「私」は現れなかった。少しず…

オチのひねり方が粋なSF短編集―フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』感想

今日の更新は、フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』です。 うっかりすると更新報告しているTwitterのアカウントが凍結されそうなタイトルですね。 あらすじ 精神病院に潜入することになったジョージ・バイン。彼には三年前からの記憶がな…

優しい子どもたちに病が襲い掛かる―縹けいか『モーテ 死を謳う楽園の子』感想

今回の更新は『モーテ 死を謳う楽園の子』です。 こういうサブタイトルしっくりこないなあ。「死を謳う楽園に子がいる」なのか、「死を謳う子が楽園にいる」のか、わからなくないですか? 前巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 小説家と…

音楽と学校を描いた青春葛藤ストーリー―佐藤多佳子『第二音楽室』感想

今日の更新は佐藤多佳子『第二音楽室』です。 『聖夜』とは同じテーマを使ったシリーズです。内容につながりはありません。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 鼓笛隊で、メインの楽器を落とされ、ピアニカを拭くことになった子どもたち。彼らは第二音楽室…

「シナリオ」を作りすぎない生活を目指そう―高山恵子・平田信也『実践! ストレスマネジメントの心理学』感想

今日の更新は『実践! ストレスマネジメントの心理学』です。 ストレスマネジメントの本を読むシリーズ。 書籍概要 日常生活で避けられない「ストレス」。それとどう付き合っていけばいいのか。ストレスをコントロールし、それに縛られない生き方を目指す。…

恋愛脳の主人公に厳しい周囲の人たち―チャーリー・N・ホームバーグ『硝子の魔術師』

今日の更新はチャーリー・N・ホームバーグ『硝子の魔術師』です。 タイトルはダブルミーニング。 前回の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ セイン師のもとで、紙の魔術の修行をするシオニー。彼女が見学していた紙の工場が、何者かによって…

情念全部のせラブストーリー―縹けいか『モーテ 水葬の少女』感想

今日の更新は『モーテ 水葬の少女』です。 そういえば最近ちゃんとライトノベル読んでないな! と思って久しぶりに入手しました。 あらすじ 若いうちに自殺してしまう「モーテ」という奇病がある世界。サーシャは、ドケオーと呼ばれる孤児施設に送られる。そ…

我慢することで不幸を引き寄せてしまう―石原加受子『つらかった過去を手放す本』感想

今日の更新は、石原加受子『つらかった過去を手放す本』です。 ストレスマネジメントとはちょっと方向性が違いますが、内容が気になったので読んでみました。 書籍概要 「ああしてほしかった」「なぜあんなひどいことを言ったのか」と過去にされたことを忘れ…

完璧な牧師と、不倫した妻との断絶―佐藤多佳子『聖夜』感想

今日の更新は佐藤多佳子『聖夜』です。 『黄色い目の魚』に続いて同じ作者の本を読んでますが、別に狙ったわけではありませんでした。たまたま。 あらすじ キリスト教系の学校でオルガンを弾いている一哉。不倫して出て行った母親や、完璧な父親への屈折した…

怒りをコントロールする方法 水島広子『「怒り」がスーッと消える本 対人関係療法の精神科医が教える』感想

書籍概要 「ムカムカを手放したい」「ついキレてしまう」「つまらないことでイライラしたくない」「怒りっぽい自分をなんとかしたい」あなたへ。「怒り」はなぜ起きるのか。どうすれば、イライラを手放せるのか。感情に振り回されない人になるには、どうすれ…

見習い魔術師が、紙の魔法で師匠を救う チャーリー・N・ホームバーグ『紙の魔術師』感想

あらすじ 魔術が高度な専門技術とみなされている1900年代初めのロンドン。魔術師養成学院を卒業したシオニーは、金属の魔術師になりたかったのに、人気のない紙の魔術の実習を命じられた。そのうえ師匠の折り師セインは変わり者。だが気の進まない勉強を続け…

標本技師と事務員の密やかで耽美な恋 小川洋子『薬指の標本』再読感想

今日の本は『薬指の標本』です。 大学生のころから何回も読み返した本です。今回も読みたくなったので。 あらすじ 楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプ…

「やさしさ」に関する親世代とのジェネレーションギャップ 大平健『やさしさの精神病理』感想

書籍概要 席を譲らない“やさしさ”,好きでなくても結婚してあげる“やさしさ”,黙りこんで返事をしない“やさしさ”…….今,従来にない独特な意味のやさしさを自然なことと感じる若者が増えている.悩みをかかえて精神科を訪れる患者たちを通し,“やさしい関係”…

百歳まで歩くためのトレーニングと心構え 田中尚喜『百歳まで歩く 正しく歩けば寿命が延びる!』感想

親からの借り物。 書籍概要 生涯自分の足で歩きたい!そのために必要なのは「座る、立つ、歩く」といった日常動作で使う“遅筋”を鍛えること。本書では、自宅でできる簡単なトレーニング法を紹介します。 (幻冬舎HPより)

アンドロイドを直す博士が訳ありの野良アンドロイドを拾う 辻村七子『マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年』感想

あらすじ ノースポール合衆国自治州『キヴィタス』は、5億6千万の人口を収容する人工都市だ。アンドロイド管理局に勤める若きエリート、エルガー・オルトンは、帰り道で登録情報のない“野良アンドロイド”の少年を拾う。ワンと名乗った少年型アンドロイドとエ…

助っ人少女がミュージカルの舞台に挑む 森絵都『無限大ガール』感想

AmazonKindleで売っている短編、Kindle Singleの本です。 あらすじ こうと決めたら猪突猛進! 眩しいぐらいまっすぐな高校生女子が大活躍する、爽やかで甘酸っぱい青春小説の短編。高校二年生の相川早奈(あいかわ・さな)は「日替わりハケン部員」。きょう…

古代日本で日の神と水の神が争う 香村日南『蛇神の祈り』感想

蛇の話を読むシリーズ。 あらすじ 古代の大和(奈良)。そこでは水の神を奉じるものと、日の神を奉じるものとの争いがあった。誉田大王(ほむたのおおきみ)の息子として生まれた稚彦王子は、死のうとしている少女と出会うが……。

ストレスマネジメントは自分のホームポジションに戻ること 島悟・佐藤恵美『ストレスマネジメント入門』感想

ストレスマネジメントについて調べるシリーズ。 書籍概要 生きていくために避けられないストレス。それを軽減し、上手く生きていくためにはどうすればいいか。アサーションや生活リズムの観点から、ストレス管理の方法を解説する。

ストレス対策の入門書としてまとまっている 熊野宏昭『ストレスに負けない生活 心・体、脳のセルフケア』感想

書籍概要 現代人をむしばむストレス。しかし、そもそも科学においてストレスとは何なのか? それをひもとき、科学的にストレスへの対策を提案する。ストレスとうまく付き合うメンタルヘルス本。

那須与一の霊に憑りつかれて弓道部へ 末羽瑛『キュードー・ライフ!』感想

あらすじ ひょんなことから那須与一の霊に憑りつかれた良治。彼はひとりきりで弓道部の活動をしていた鹿目梓に一目ぼれし、弓道部に入部する。良治はどんどん弓道の楽しさにのめり込んでいき……。

秋に閉じ込められたリプレイヤーたちのゆるい生活 恒川光太郎『秋の牢獄』再読感想

あらすじ 女子大生の藍は、自分が11月7日を繰り返していることに気づく。同じ境遇の「リプレイヤー」たちとつるみ、ループを楽しむ。しかし、「北風伯爵」という謎の存在がリプレイヤーたちを脅かしていて……。表題作含む三編を収録。

「役割」を持つ人たちの掌編集 いしいしんじ『雪屋のロッスさん』感想

あらすじ なぞなぞをするタクシー運転手、巨躯のプロバスケット選手、マッサージ上手な女性。何かの「役割」を持った人をテーマにした掌編集。

男二人の掛け合いが楽しい 野村美月『アルジャン・カレール 革命の英雄、或いは女王の菓子職人』感想

上巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 女王の菓子職人アルジャン・カレール。劇作家のオーギュストは彼になつき、あれこれ話をする。あるとき女王の権力の後ろ盾であるバルトレオンが敗走し、フロリアは戦争の危機に陥る。