ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

読書感想

面白いけど内向きなところはいただけない―牧野修『月世界小説』(ハヤカワ文庫)

今日の更新は、牧野修『月世界小説』です。 この装丁がかっこよくて気になっていた本。 あらすじ 友人とゲイパレードを見に来ていた菱谷修介は、突然怪物たちに襲われ、世界の終わりを見る。彼が逃げ込んだのは自分の妄想世界。あまたの妄想世界では、神と人…

預言によって権力に狂う一人の男―シェイクスピア『マクベス』(光文社古典新訳文庫)感想

今日の更新は、シェイクスピア『マクベス』です。 昔一度読んだんですけど、内容をほとんど思い出せなかったので再読してみました。 あらすじ 三人の魔女に「王位につく」と予言されたマクベス。権力に目がくらんだ彼は、汚れた手段に手を染めていく。王位を…

並行世界を超えて幽霊になった少女を救え―乙野四方字『君を愛したひとりの僕へ』感想

今日の更新は、乙野四方字『君を愛したひとりの僕へ』です。 対になっているほうの記事はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 両親の離婚によって父親に引き取られた暦は、父の働く研究所で栞という少女に出会う。彼女と惹かれ合う暦だったが、父と…

並行世界におけるすべての彼女を愛せるか―乙野四方字『僕が愛したすべての君へ』感想

今日の更新は、乙野四方字『僕が愛したすべての君へ』です。 一度読んでみたかった作品。 あらすじ 並行世界の概念が証明されている世界。秀才の高崎暦(たかさき・こよみ)は85番目の世界から来たクラスメイト滝沢和音(たきざわ・かずね)に声をかけられる…

鉄を操る少女の短く荒々しい青春―桜庭一樹『製鉄天使』感想

今日の更新は、桜庭一樹『製鉄天使』です。 あらすじ 製鉄所の社長の娘赤緑豆小豆は、その鉄を操る能力でレディースとして成り上がる。その後部座席には、マスコットの菫がいた。中学卒業をきっかけに、小豆と菫は離れ離れになるが……。

「政教分離」は弾圧か自由か―伊達聖伸『ライシテから読む現代フランス――政治と宗教のいま』感想

今日の更新は、『ライシテから読む現代フランス』です。 一度読んでみたかった新書です。 書籍概要 国家の宗教的中立性を示す、フランスのライシテ。信仰の自由を保証する一方で、「ヴェール事件」などのムスリムの髪を隠すかっこうを否定することもある。ラ…

極限状態の指揮をむしばむセクショナリズム―佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』感想

今日の更新は、佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘事件」』です。 一度、あさま山荘事件の本は読んでみたかった。 あらすじ 学生運動の過激派、連合赤軍がひとりの女性を人質に「あさま山荘」という保養所に立てこもった。警察官である著者は、人質の奪還と事件…

公務員の公平はとってもいびつ―秋山謙一郎『公務員の「お仕事」と「正体」がよ~くわかる本』感想

書籍概要 就職先として人気が高い公務員。給料は? 仕事の内容は? 休みの日は? などなど、公務員の姿を解説した本。

忙しい人向け長編ファンタジー―多崎礼『神殺しの救世主』感想

今日の更新は、多崎礼『神殺しの救世主』です。 あらすじ 滅びつつある世界。預言者に育てられた《運命》の守護者ノト・ファーレは、自分以外の守護者を探して旅に出る。仲間と旅をするうちに、ノトは預言に抗おうとし始めるが……。

錆に蝕まれた日本を旅する荒くれ者―瘤久保慎司『錆喰いビスコ』感想

今日の更新は瘤久保慎司『錆喰いビスコ』です。 いつかのセールで買ったもの。 あらすじ お尋ね者のキノコ守りのビスコ。彼は錆にむしばまれた師匠、ジャビを助けるために、「錆喰い」というキノコを探す旅に出る。自衛団長である姉を助けたいミロも相棒に加…

フェチや関係性にうまく乗れなかった―瑞智上記『あまがみエメンタール』感想

今日の更新は、瑞智上記『あまがみエメンタール』です。 著者プロフィール欄見て気づいたんですが、改名した『幽霊列車とこんぺい糖』の人だったんですね。 あらすじ ストレスを感じると、心音を噛んでしまう莉子。一方で、心音のほうも、「莉子に噛まれる」…

「詩人」であることがスティグマとして扱われるのが辛すぎ―紅玉いづき『現代詩人探偵』感想

今日の更新は、紅玉いづき『現代詩人探偵』です。 あらすじ オフ会で「10年後に会おう」と言って別れた詩人たち。10年後、彼らが集まってみると、四人もの詩人が亡くなっていた。その詩から「探偵くん」とあだ名される主人公は、彼らの死の理由を探り始…

ヴィザと財産狙いのウクライナ美女から父を救え―マリーナ・レヴィツカ『おっぱいとトラクター』感想

今日の更新は、マリーナ・レヴィツカ『おっぱいとトラクター』です。 『トラクターの世界史』に引用されていて興味を持ちました。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 84歳の父は、35歳のウクライナ人の美女と結婚すると言ってきた。どう考えても財産目…

「知らない人に好かれる」ことを警戒する理由が知りたければ、高野秀行『世にも奇妙なマラソン大会』を読んでくれ

世の中広いのでそうでない人がいないとは言い切れないけれども、だいたいの女性は「知らない人にあからさまに性的な好意を向けられたら困る」と思っている人が多いのではないでしょうか。 まだ何も実行してない状態で、「好意」だけで嫌なのか……とお思いかも…

いつもの古書堂だけどちょっとオチが不満―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ』感想

今日の更新は、『ビブリア古書堂の事件手帖6』です。 表紙はダークな栞子さん。 あらすじ 『晩年』の古書ほしさに栞子を突き落とした男、田中から「別の『晩年』を探してほしい」という依頼が来る。ビブリア堂はそれがどこにあるのか調べ、危険な男が狙って…

ひとりの男の性欲が生んだ美しい地獄―ドット・ハチソン『蝶のいた庭』感想

今日の更新は、ドット・ハチソン『蝶のいた庭』です。 あらすじ 背中に蝶の入れ墨を入れた少女たちが保護された。そのひとりであるマヤという少女は、警察に事情を聴かれるが、巧みな話術で何度も警察官たちをけむに巻く。根気強く彼女の語りを聞く中で、お…

「普通」にはなれないが、立派な変人になろう―国実マヤコ『明日も、アスペルガーで生きていく』感想

今日の更新は、『明日も、アスペルガーで生きていく』です。 評判が良かったので手に取ってみた本です。 書籍概要 社会にうまく適応できない、ちょっと変わった人たち。彼らは「アスペルガー症候群」かもしれない。著者がアスペルガーの人々に取材を行い、そ…

黒人社会から見る多民族国家アメリカ―高山マミ『ブラック・カルチャー観察日記』感想

今日の更新は、高山マミ『ブラック・カルチャー観察日記」です。 こちらの記事をきっかけに手に取りました。 uzumaki-guruguru.hatenablog.com 書籍概要 アメリカ出身の黒人と結婚し、彼らのコミュニティに飛び込んだ著者。そこにあったのは、数々のカルチャ…

王道だけどちょっと物足りない―葛西伸哉『世界が終わる場所へ君をつれていく』感想

今日の更新は、葛西伸哉『世界が終わる場所へ君をつれていく」です。 一冊完結のライトノベルおすすめで紹介されていたもの。 あらすじ 青森に、メタリックな謎の木が生えた。金属の塊を飛ばすそれのせいで、周辺住民は避難を余儀なくされる。しかしふたりの…

嫌いではないけれど設定がわかりにくい―森田季節『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』感想

今日の更新は、森田季節『ベネズエラ・ビター・マイスウィート』です。 あまり書くことがなかったので文章短め。 あらすじ 高校生の明美は、「人を殺した」と同級生の神野から告白される。実は明美も、人を殺したことがあった。ふたりは「実祈」という少女を…

何が楽しくて変態のラブストーリーを読まなければならないのか―江國香織『東京タワー』感想

今日の更新は、江國香織『東京タワー』です。 最初に言っておきますが、めちゃくちゃ酷評なので覚悟しておいてください。 あらすじ 年上の女性と付き合っている二人の若者。彼女らは、結婚していた。耕二と付き合う貴美子は情緒不安定になり、透と寝る詩史は…

医者が監修してるのにスピリチュアルネタはちょっと―苑田純子『敏感すぎて困っている自分の対処法』感想

今日の更新は、苑田順子『敏感すぎて困っている自分の対処法』です。 HSPについて調べるシリーズ。 書籍概要 人の感情や五感に敏感なHSP(敏感体質)。彼ら彼女らが周囲に流されず、自分の心を守るためにはどうすればいいのか。漫画と文章で解説する、「敏感…

マイナスのカードを集めない生活をしよう―高田明和『「敏感すぎて苦しい」がたちまち解決する本』感想

今日の更新は、高田明和『「敏感すぎて苦しい」がたちまち解決する本」です。 HSPとは完全には言い切れないんですけど、どうやらその気があるっぽいので調べてみることにしました。 書籍概要 言葉や感情、音、化学物質などに敏感なHSP(敏感体質)の人々。彼…

現代人にも共感できる世知辛いロマンス―オースティン『高慢と偏見(下)』(光文社古典新訳文庫)感想

今日の更新は、オースティン『高慢と偏見(下)』です。 パソコンのキーボードがぶっ壊れたため、しばらくブログが書けませんでした。なんとか毎日更新を崩さずに済みました。 上巻の感想はこちら。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ ダーシーの告白を拒…

自分を縛る偏見を乗り越えることができるか―オースティン『高慢と偏見(上)』(光文社古典新訳文庫)感想

今日の更新は、オースティン『高慢と偏見』です。 いろいろバージョンがあるので、タイトルにレーベル名を入れておきました。 あらすじ 聡明で理知的なエリザベスは、近所に引っ越してきた青年ビングリーとその友人ダーシーと知り合う。エリザベスは、ダーシ…

見比べて観察する短歌入門―横山未来子『はじめてのやさしい短歌のつくりかた』感想【AmazonPrimeリーディング】

今日の更新は、『はじめてのやさしい短歌のつくりかた』です。 これもAmazonPrimeリーディングからは抜けてるっぽいですね。Primeリーディングにあるうちに読まないことに定評があるブログです。 書籍概要 文字数のことから、添削例まで。これから短歌を始め…

『あやかし双子のお医者さん』は人と人が分かり合えないところが最高だよね【布教用記事】

今日の更新は、『あやかし双子のお医者さん』についてです。 布教用記事というのが需要があるっぽいので、ネタがある限りはときどき書いていきます。 この、『あやかし双子』はドキドキハラハラしたり伏線が巧妙だったりするタイプの作品とはちょっと違うん…

子どものときにこんな悪い大人たちの読書案内を読みたかった―金原瑞人『金原瑞人[監修]による12歳からの読書案内 海外作品』感想

今日の更新は、『金原瑞人[監修]による12歳からの読書案内 海外作品』です。 いやあ、めちゃくちゃ面白かったです。 書籍概要 翻訳者の金原瑞人を中心に、さまざまな人がローティーンのために本をオススメする。泣けるものから笑えるもの、ディープなもの…

こっくりさんと契約した男の、悲しくも希望のある結末―乙一『天帝妖狐』再読感想

今日の更新は、『天帝妖狐』です。 久しぶりに読みたくなったので楽天koboで買いました。電子書籍は気が向いたときに買い戻せて、著者にお金を払えるのでいいですね。 あらすじ 杏子は道端で倒れていた夜木という男を拾う。顔を隠した夜木は、何か訳ありのよ…

これをミステリと呼ぶには無理があるだろ―野崎まど『パーフェクトフレンド』感想

今日の更新は、野崎まど『パーフェクトフレンド』です。 あらすじ 不登校の少女をたずねていった小学生理桜(りざくら)は、数学家の天才少女さなかと出会う。理桜が友達の重要性を説いたことをきっかけに、さなかは学校に通い始め、友達というものを知ろう…