ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

読書感想

魔女学校の生徒同士が織りなす現代の変身譚 白鷺あおい『ぬばたまおろち、しらたまおろち』感想

TwitterのTLで噂になっていて興味を持った本です。 あらすじ 幼馴染の大蛇と結婚の約束を交わした少女、綾乃。村祭りの舞い手に選ばれた綾乃は、祭り当日に謎の男に襲われる。間一髪で彼女を救ったのは、ほうきに乗った魔女だった。綾乃はそのまま、魔女たち…

吸血鬼と人間が夏時間を一緒に過ごす 石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』再読感想

好きだった本を読み返すシリーズ。『ヴァンパイア・サマータイム』を読んだのは結構最近なのに、かなり内容を忘れていてちょっと悲しかったです。 あらすじ 吸血鬼と人が共存する世界。両親の経営しているコンビニで働くヨリマサは、毎日紅茶を買いに来る吸…

短い文章で動物を描いたシンプルな本 ジュール・ルナール『博物誌』感想

このレビューを読んで気になった本です。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 書籍概要 牛や豚、昆虫、鳥……田舎にいるさまざまな動物を、著者は短い文章で描き出していく。日常の中の自然を見つめる日記文学。

再生医療のこれからを考えさせられる一冊 ロバート・カーソン『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』感想

Twitterでおすすめされていたので読んでみました。図書館で取り寄せたのですが、思ったより分厚かったのでびっくりしました。 あらすじ 盲目の男性、マイク・メイは、手術によって視力を回復できるかもしれないと医者に告げられる。メイは悩んだ結果、手術を…

何者にもなれない少女がアラビアンナイトの世界で魔神になる 荻原規子『これは王国のかぎ』再読感想

昔好きだった本を読み返すシリーズ。今回は『これは王国のかぎ』です。 たぶん最初に読んだのは中学生ぐらいです。 あらすじ 失恋をきっかけに落ち込んでいたひろみは、ある日アラビアン・ナイトの世界に魔神(ジン)として呼びだされる。ハールーンというタ…

イデオロギーを着替える人はある意味うらやましい 米原万里『噓つきアーニャの真っ赤な真実』再読感想

昔好きだった本を再読するシリーズ。高校生くらいかな あらすじ 共産主義者の父の影響で、幼いころをプラハの学校で過ごした著者。大人になった著者は、そのころの学友を訪ねていく。共産主義の崩壊と国の混乱を目の当たりにした少女たちは、どのような大人…

板前さんが水族館で職員として働く 末羽瑛『水族館の板前さん』感想

『Let it BEE!』が面白かったのでお礼課金です。 honkuimusi.hatenablog.com あらすじ 働いていた料亭が閉まり、無職になった主人公、浩介は、水族館の臨時職員として働くことになる。水族館の仕事に少しずつやりがいを見出していく浩介だったが、仕事は波…

病によって変わった人を冷静に見つめる 宮子あずさ『看護婦が見つめた人間が病むということ』感想

エッセイが読みたくなって買ってきました。 この本が出たばかりのときは「看護師」ではなく「看護婦」だったんですね。 あらすじ 看護婦の著者は病棟でいろいろな人に出会う。夫婦関係を見つめなおす人、精神病棟で寄る辺なく生きている人。病をきっかけに暴…

性行為が失われた世界で誰かを愛する 森田季節『不動カリンは一切動ぜず』感想

Twitterでおすすめされていたので読んでみた本です。 あらすじ すべての子どもが人工授精で生まれる時代。人々は手にノードを埋め込み思念を交換していた。中学生の火輪(かりん)と兎譚(とたん)は、学校の課題である事件を調査したことから、やっかいごと…

だめ人間がだめ人間に説得される回 椎名蓮月『あやかし双子のお医者さん五 幽霊と邂逅の半身』感想

Kindleで同日に読めるんですね。 注文しようと思ってましたがKindleで予約してしまいました。 あらすじ すべてのあやかしを滅ぼそうとする吉野。彼と仕事をしたことがある晴は、なんとか吉野を止めたいと考える。そんな中、莉莉は吉野のかつての相棒の幽霊と…

古い台本の呪いで嬉しくないハーレム状態 来楽零『ロミオの災難』再読感想

好きだった本を読み返すシリーズ。初めて読んだのは大学生の時でした。 あらすじ 一年生五人だけの演劇部。文化祭の公演の相談をしていると、五人で演じられる『ロミオとジュリエット』の台本が落ちてきた。その台本を演じることにした五人だったが、なぜか…

あいまいな感情を言語化してくれる短編集 吉本ばなな『とかげ』再読感想

この方時期によってよしもとだったり吉本だったりするので、ブログの作家タグをどっちに合わせるか悩みます。 たぶん中学生くらいの頃に読んだけれど、内容をきれいさっぱり忘れてました。 あらすじ 鍼灸師をやっている女性「とかげ」にプロポーズした「私」…

著者の福祉への理解のなさを露呈している 原田泰『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』感想

本を読んでこんなに怒ったのは久しぶりだ。 最初に行っておくと、私はベーシックインカムについて反対しているわけではないです(賛成もまだしてませんが)。だが、この本はひどすぎますね。 書籍概要 国民全員に一定のお金を支給する「ベーシックインカム(…

プレゼン資料シリーズ第0回  『血と霧』多崎礼 ハヤカワ文庫

Twitterで好きな本を宣伝するために、プレゼン資料を作ってみました。 どのくらい効果があるかはわからないけれど、需要があればぼちぼち続けようかなと思います。

「温まりたい」という欲求から生まれた暖房の歴史 ローレンス・ライト『暖房の文化史 火を手なずける知恵と工夫』感想

『森薫拾遺集』に参考文献として載っていたもの。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 人間が寒さから逃れるために作り出した「暖房」。たき火から暖炉、ストーブ、薪から化石燃料へと、テクノロジーの進歩によってそのしくみは変わっていく。暖房から人類…

ライトノベル作家がしゃべる猫とともにつらい執筆生活 石川博品『先生とそのお布団』感想

同人誌を加筆して長編に書き直したものだそうな。ガガガもそんな作品を出すようになったんですね。 あらすじ 売れないライトノベル作家、石川布団。人の言葉を理解する猫「先生」とともに、今日もひたすら小説を書く。打ち切り、出版、また打ち切りと、出口…

ウエストを締め付ける下着の過去といま 古賀令子『コルセットの文化史』感想

『森薫拾遺集』に参考文献として載っていた本です。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 ウエストを締め付け、くびれを作る下着コルセット。それはどこから発祥し、どのように発展していったのか。図やイラストを見せつつ、コルセットの歴史を解説した本。

王子が王位継承を目指して隣国と権謀術数 秋目人『謀王』感想

ぐだぐだしていて続編に手を付けるのが遅れてしまいました。 あらすじ 嘘と策謀によって王位継承の権利を得たフィッツラルド。しかし即位には隣国の王の許可が必要だった。おりしも隣国も世代交代の時期であり、フィッツラルドは王位継承のさなかに策謀を巡…

双子が戦争の中の街で悪行を行う アゴタ・クリストフ『悪童日記』感想

あらすじ 母親によって祖母に預けられた双子。おりしも国は戦争の真っただ中だった。彼らは生き延びるため、さまざまな訓練を積む。貧困と搾取と暴力のはてに、双子が選んだ結末とは……。

吸血鬼の娘がたどる、父と母の永遠の愛 野村美月『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる Long Long Engage』感想

ちょっと悲しくて続きが読めなかったのですが、ようやく補完編に手を付けました。 あらすじ 彼氏の神にプロポーズされ、一緒にイギリスに行かないかと持ちかけられたミナ。しかし彼女は、その申し出を断ってしまう。父をひとりにするわけにはいかないとミナ…

蔵で見つけた妖刀が使ってくれと要望してくる 椎名蓮月『あやかし双子のお医者さん四 妖刀と孤独な術者』感想

表紙の花、キョウチクトウですね。花言葉は「油断大敵」「用心」。なんだか象徴的です。 あらすじ 学校の友人に頼まれ、蔵の整理を手伝っていた莉莉は、そこで古い日本刀を見つける。日本刀には付喪神が憑いており、莉莉はその付喪神に「使ってほしい」と懇…

島に伝わる、どこかへ行ける呪文 雨宮諒『夏月の海に囁く呪文』感想

一巻完結ライトノベルのおすすめにあった作品です。 あらすじ 夢久島という島に暮らす修一。彼は何でも正直に言ってしまう劇作家に出会う。その島には、「海で唱えると自分の居場所に連れて行ってくれる」という呪文があった。島で暮らす人々と、そこに伝わ…

機能不全家族でどうにもならない悲劇が起こる ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』感想

光文社古典新訳文庫が個人的マイブームです。本当に読みやすいですね。 あらすじ 学校で、雪玉によって負傷したポールは、友人のジェラールによって部屋に運ばれる。そこには姉エリザベートとの閉じた世界があった。歪んだ関係の姉弟と、それにかかわった少…

カラスを連れた少年が治療の依頼にやってくる 椎名蓮月『あやかし双子のお医者さん三 烏天狗と押しかけ弟子』感想

ふらっと本屋さんに入ったらあったので、最新刊まで買いました。リアルタイムでシリーズを追いかけるのは久しぶりかもしれません。 あらすじ あやかしを癒す男性に弟子入りした莉莉。年明けごろ、白いカラスを連れた少年がやってきた。彼は烏天狗のあやかし…

コミカルだけど硬派なフェンシング青春小説 末羽瑛『Let it BEE!』感想

一冊完結のライトノベルのおすすめに出ていた本です。このイラストの絵柄、好みです。 あらすじ 内気な少女、有星結恵は顧問の蜂谷巴に誘われ、廃部寸前のフェンシング部に入部。しかし彼女には、先端恐怖症という大きなハンデがあった。団体戦に出場するた…

読者に古文知識を要求してくる東洋風ファンタジー 西崎憲『蕃東国年代記』感想

ファンタジー好きの知り合いにおすすめされて、気になった本です。表紙絵は『宝石の国』の市川春子さん。 あらすじ 日本とユーラシア大陸の間に浮かぶ国、蕃東(ばんどん)。東アジア風の文化を持つそこは、さまざまな不思議な話に満ちていた。架空の国蕃東…

ソビエト・ロシアの収容所で生きた日本人たちの生活 辺見じゅん『収容所から来た遺書』感想

収容所と書いて「ラーゲリ」と読みます。 あらすじ 第二次大戦後、「戦犯」としてソビエト・ロシアの収容所(ラーゲリ)に収容された軍人の男性たち。日本に帰る日を夢見て、貧しい食事や厳しい労働に耐えていた。そんな中、日本人の中心的人物が病気で臥せ…

犬による犬のための犬に満ちた小説 古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』再読感想

人生で五指に入るくらい好きな本です。久しぶりに読み返したくなりました。 あらすじ 第二次世界大戦中、キスカ島に取り残された4匹の軍用犬。彼らはそこから子孫を増やし、世界中に広がっていく。一方で、ソビエトが滅んだロシアでは、ある老人が、犬とと…

因習が残る島で化け物の正体を追う 三浦しをん『白いへび眠る島』感想

蛇が出てくる話が読みたいなあ、ということでセレクトしました。 あらすじ 故郷である拝島(おがみしま)に返ってきた悟史。十三年ぶりの大祭を控えた島で、「あれ」と呼ばれる忌まわしい化け物が出るという噂が立った。悟史は幼なじみで「持念兄弟」の光市…

サイボーグ兵が、ロボット兵と無垢な少女と一緒に穏やかな生活 長谷敏司『楽園 戦略拠点32098』感想

一巻完結ライトノベルおすすめ記事でおすすめされていたものです。 あらすじ 人類の間では、千年間戦争が続いていた。サイボーグ兵ヴァロアは、敵が必死に守っている謎の惑星に降下する。そこでロボット兵ガダルバと少女マリアに出会い、牧歌的な生活をする…