ブックワームのひとりごと

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もしも刺青が動き出したら 乙一『平面いぬ。』感想

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『平面いぬ。』を読みました。短編集です。

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

 

あらすじ

『石ノ目』

目を見ると石にになってしまう怪物の家に滞在するホラー。

『はじめ』

嘘から生まれた少女、はじめとの交流を描いた作品。

『BLUE』

5体の生きたぬいぐるみの中で一人だけ醜いブルーの物語。

『平面いぬ。』

刺青の犬が動き出したことで、家族との関係を見つめなおす話。

乙一のちょっと不思議な話

この中で一番好きなのは『BLUE』です。生きているぬいぐるみというメルヘンな題材なのに、かなり暗い話なのがツボでした。陰鬱でありながらも主人公のブルーがけなげで心を打ちました。あと乙一のいじめシーンは本当に暗い気持ちになります(そこがいいところでもありますが)

表題作『平面いぬ。』は両親が同時に病気になるという過酷な状況。ですが、雰囲気はどこかコミカルでした。悲惨な話のはずなのですが、犬の入れ墨ポッキーがなんだか憎めなくてかわいくて笑ってしまいます。悲しいけれど前向きになれるオチもよかったです。

乙一の話は不思議要素があるけれども、どこかリアリティもあるというか、「本当にこんなことがあるかもしれない」と考える余地があるところが好きです。作り話であってもキャラクターがどこかに生きている気がしてくるんですよね。それが面白いです。

まとめ

乙一の雰囲気がよく出た短編集だったと思います。やっぱり乙一は短編が一番好きですね。

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