ブックワームのひとりごと

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棄てられた女の一生 遠藤周作『わたしが・棄てた・女』感想

『わたしが・棄てた・女』を読みました。

遠藤周作は最近の文学者では好きな人です。

わたしが棄てた女 (講談社文庫)

わたしが棄てた女 (講談社文庫)

 

 あらすじ

主人公が、女性への飢えゆえにヤリ捨てしたミツ。彼女はそれをきっかけに転落人生を送ります。一方主人公は入社した先の社長の姪と恋仲になり、順調な人生を歩みます。しかしひょんなことからミツの居場所を知り……。

昭和のクズ文学

遠藤周作の文章は読みやすくて好きです。

個人的に、クズが主人公の文学作品を「クズ文学」と呼んでいるんですが、これはまさしくそうでした。しかしあんなひどい男が意外とうまく世の中を渡ってしまうことがリアルです。お人よしすぎるミツはどんどん転落していくのが対照的でした。

途中から舞台がハンセン病の隔離病院になり、その当時のハンセン病への感情が感じられてそれも興味深かったです。私はテレビでハンセン病がそう簡単に感染しないことを知っているんですが、この当時はまだそうではなかったんですね。

ラストで主人公は「俺のせいじゃない」と言うんですが、この感情の表し方はどうなのだろう? と思いました。あそこに残ると決めたのはミツなので、私はそんなに負い目を感じるほど不幸には見えませんでした。

結末は悲しいですが、自分の居場所を見つけて働いて、それで幸せを感じていたわけなので、完全なバッドエンドとはいえないんじゃないかな? と思っています。

まとめ

クズが主人公の作品ですが、これはこれで楽しめました。

また少しずつ遠藤周作の作品を読んでいきたいです。

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

 
深い河 (講談社文庫)

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