『アンダーグラウンド』を読みました。
1000円くらいするのか、高いな~と思ったら700ページで二段組みという文章量。むしろ安かったです。
書籍概要
カルト宗教によって地下鉄にサリンが撒かれるという陰惨な事件。著者、村上春樹は地下鉄サリン事件に巻き込まれた一般の人々にインタビューを試みます。ひとりひとりが語る、サリン事件の真実とは……。
インタビューだからこそわかる生々しい証言
あくまでインタビューなので、一部の証言に矛盾があったり、あいまいなところもあります。けれどそれを含めてすごい本でした。
この本の特殊なところは、地下鉄サリン事件に関することだけでなく、インタビューされる側の人の生い立ちや家庭環境も含めて質問しているという部分です。そこが文章にさらなる生々しさを与えています。
本の中には地下鉄サリン事件からすぐに立ち直った人もいれば、いまだに後遺症やPTSDに悩まされている人もいます。多くの人にインタビューすることによって、被害はひとりひとり違うものなのだということが実感としてわかりました。テレビや本では、やはり一面的なことしかわかりませんから。
加えて、現場にいた被害者たちが助け合っていたのが印象的でした。痙攣する人が舌を噛まないように新聞紙を突っ込んだり、救急車が来ないから通りすがりの車をつかまえて乗せてもらったり。マニュアルももちろん必要ですが、緊急事態には柔軟に行動することも大事だと感じました。
まとめ
ものすごく長い本でしたけれど、それはもうすごかったですよ。
地下鉄サリン事件について調べたい人は必ず読んでおいたほうがいい一冊だと思います。