iPodなどのMP3プレイヤーの時代に逆行してCDラジオを買いました。
もともとラジオが好きなので、スマホの電源を気にせず、コンセントでつなげるCDラジオを買ったわけです。
使ってみるとヘッドホンなしで使う分にはiPodよりずっと使いやすいですし、雑誌やムック本についてくるCDをいちいちパソコンに読み込むのは面倒なので、CDを入手すればそのまま聞けるのが便利です。
しかし、私がこのCDラジオの威力を感じたのは、熊本地震のときでした。
2016年4月16日、熊本で起こった度重なる地震。テレビをつけると毎日のように悲惨な光景が映像で報道され、いつもの番組は報道特番になってしまいました。
事実を伝えるというのはメディアの重要な使命ですが、これにはかなり疲れました。実際に親戚や友人の安否を心配している人にとっては、少しの情報変化も重要なものだとはわかっています。しかしその場にいない人間にとっては、募金以外の特別なことはできないのです。
けれど、部屋に帰ってラジオをつけると、ラジオは普段通り音楽を流していました。
いや、完全に普段通りではなく、ときおり被災者に向けて励ましの言葉をかけたり、地震が起こったときに気を付けること、被災者以外の心構えなどを、音楽の合間に流していました。それがとても心に響いたのです。
私は、とにかくラジオが普段通り音楽を流してくれたのが本当にうれしかったです。テレビをつけると地震のことばかりやっているし、Twitterを見るとデマだか本当だかわからない内容ばかりだし、そんな中ちゃんと音楽が流れてDJさんが話しているっていうことだけでうれしくなりました。本当にCDラジオを買ってよかったな……と思った瞬間です。
こういうラジオの距離感というものが、私は好きなんだと思います。音声だけの世界なので、生々しいこともさらっと言えたり、批判的な意見でも客観的に聞けたりします。そして基本的にDJさんだけがしゃべる(たまにゲストの人も)ので、テレビみたいに今誰が話しているのか気にすることはないです。そしてやはり、音楽を流すラジオ番組は、音楽を流してくれる。ここが地震のときは本当にありがたかったです。
熊本地震をきっかけに、「CDラジオを買ってよかった!」としみじみ思いました。テレビでは流せないこと、流しても面白くないことがラジオでは興味深く聞けることもあります。その辺がとても好きですね。