ブックワームのひとりごと

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新潮文庫の100冊からおすすめピックアップ 2016

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今年も新潮文庫の100冊の時期ですね。

私は文庫レーベルの中では新潮文庫が一番好きです。レイアウトとか文庫のカラーが一番肌に合います。

というわけで、今日は新潮文庫夏の100冊から個人的おすすめを紹介します。さくいんを見ながら書いているのでアイウエオ順になってます。

www.100satsu.com

江戸川乱歩傑作選』 江戸川乱歩

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

 

日本におけるミステリや怪奇文学の先駆けだった江戸川乱歩の有名作品をまとめた一冊。

今のミステリの感覚では「ありえない!」となる作品も多いんですが、そこも逆に新鮮に思えてきます。逆に縛りがなくて自由に書けたのかもしれません。文章も昔の作品ではかなり読みやすい部類に入ると思います。

個人的に大好きなのは『鏡地獄』ですね!作品全体に漂ううさんくささと狂気がたまらないです。

きらきらひかる江國香織

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

 

 アルコール中毒で情緒不安定な妻と、ゲイで彼氏持ちの夫の奇妙な結婚生活を描いた作品です。

この作品をハッピーエンドとするかどうかは議論が分かれそうですが、幸せとは何か、家族とは何か考えてしまう本です。二人とも「普通の幸せ」から零れ落ちて、なんとか自分のよりどころを探そうとしているところが悲しいです。

幸せが多様化する現代社会にふさわしい本だと思います。

残穢小野不由美

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

 

とあるマンションに起こった怪奇現象。作家である「私」はその真相を追っていくうちに、その怪奇現象が根深いものであることを知ってしまいます。

主人公の作家を、作者そっくりにすることで、現実とフィクションの境界線をあいまいにしています。それが妙な気持ち悪さを出しています。

派手なホラーシーンはないのですが、思い出すと何だか嫌な気持ちになる、日本ホラーらしい作品です。

『沈黙』遠藤周作

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

 

 日本に宣教師として渡った主人公。そこでは凄惨なキリシタン弾圧が行われました。とらえられた主人公はさまざまに脅されて棄教を迫られます。

日本におけるキリスト教文学では外せない一作です。キリスト教と日本文化の違いや、キリストの与えてくれる救いとは何なのかというテーマが重厚です。仏教徒の自分の中には存在しない考え方なので日本文学なのに異文化です。

オチには賛否両論ありますが、私は好きです。

月と六ペンス サマセット・モーム

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

 

 ある日突然、家族も仕事も捨てて画家になった中年男、ストリックランドをめぐる話です。

この男がものすごく傲慢で身勝手な奴で、読んでいて何度もクズ野郎と言いたくなります。しかし同時に、彼の絵に対する熱意がひしひしと伝わってくるので、つい最後まで読んでしまうんですよね。作中の、絵に対する言葉の選び方も詩的で面白いです。

才能のある人間の闇と光両方を感じられる本です。

『夏の庭』湯本香樹実

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

 

 「人の死ぬところが見たい」という好奇心から、ある老人を付け回すようになった少年たち、しかし老人と少年たちには奇妙な友情が芽生え……。

「老人と子ども」というのは見ているものも経験も環境も違います。そんな彼らが仲良くなって、行動を共にするというのが奇跡のようですが、それが面白いです。明かされる老人の過去も物悲しいです。

何度も「100冊」に入っている、夏にぴったりの一冊です。

 まとめ

今回は新潮文庫の100冊からおすすめをピックアップしました。

この企画毎年楽しみにしてるので、この記事が他の方の楽しさの助けになれば幸いです。