『希土類少女』を読みました。
「レアアースを生み出す少女」という設定に興味をもって手に取った一冊。
あらすじ
体からジスプロシウムを生み出す少女、冴矢。彼女はレアメタルを生み出す少女たちと共同生活をしています。少女たちは二十五歳までに死ぬ定め。日本に恩恵をもたらすものとして、娯楽や衣服を与えられて豊かに暮らしていました。しかし職員の江波に出会ったことで彼女の人生は変わっていきます。果たして二人の道ならぬ恋はどうなるのか……。
ご都合主義もほどほどに
設定は面白いんですが、「面白い設定」という段階で止まっている……。久しぶりに読んでいて頭を抱えました。
まずどうかと思うのは作中のご都合主義的設定の多さです。SF作品にご都合主義がだめとかではなくて、そういうご都合主義設定を採用するなら他の部分をもっとがんばってほしかったです。ドラえもん だってかなりご都合主義だけど、あれはひみつ道具の設定の面白さや、意外とブラックな展開で面白さを示しているわけですからね。それならキャラクターや雰囲気の描写にこだわることもできたんじゃないですか……。
短命な少女、閉鎖的な空間、そういうものが書きたいっていうのは何となく伝わってくるんですが、その伝わってくる以外の部分がいまいちだったんですよね。文章は説明的だし、伏線のネタばらしも唐突だし……。もっと書きたいシーンに至るまでの部分をこだわってほしかったです。本当に設定負けしてます。
設定やテーマが好きなだけにもったいない作品でした。発想がいいだけではどうにもならない部分もあるんですね。設定や物語に肉付けすることの重要さを感じました。
まとめ
久しぶりにぼろくそ言ってしまいましたが、設定は好きなんですよ、本当に。
だからこそあんまりおもしろくなかったのがショックなのです。