Twitterのお友達がおすすめしていたので読んでみました。
2巻完結という短さもよし。
あらすじ
春が死んだ。夏美は妹の婚約者、冬吾と交際を始めます。条件は「春と行った場所を巡ること」。夏美の妹への執着、冬吾の恋心と罪悪感。思いはこじれにこじれ続けます。果たして二人の「呪い」の行く末は……。
三角関係への作者のフェチを感じる
この作品は三角関係ものです。しかも死んだ人との三角関係。さらには夏美→春→冬吾→夏美と完璧に循環しています。
どれも簡単に幸せになれない設定ばかりで、作者のこだわりを感じます。本当に感情が錯綜する三角関係を描きたかったんでしょうね……。
ドロドロ関係に耐性がない人は読まないほうがいいですが、「全員片思い」「報われない愛」が好きな人には自信をもっておすすめできるシチュエーションです。
私もこじれにこじれた恋愛を読むのが大好きなので楽しめました。幸せな気分にはならないけれど、他人のネガティブな感情を覗き込む暗い喜びがありますね!
二人の親からの自立
この作品のもう一つのストーリーが主人公二人の親からの自立です。二人はお互いを知ることによって、自分たちが家庭に縛られていることに気づきます。
二人の抱えている呪いは、春によるものだけではなかったというところが印象深いです。親からの呪いは簡単に解けるものではありません。しかし二人が前を向いて歩きだしたことこそが救いだなと感じました。
死んだ春との三角関係だけだったら、ひたすら暗いお話になっていたと思うので、「自立」が描かれていてよかったです。略奪だけで終わってしまったらいくらなんでもやりきれませんでした。
まとめ
闇を感じる内容で面白かったです。映像化向きだし、尺もちょうどいいと思うので実写化してほしいですね!(ちゃんとしたものだということは前提として)
映画を見たような読後感がありました。
余談:この作品が好きな人にお勧めの本
この作品が好きな人は『流れ星が消えないうちに』も好きそう。
こっちも死者との三角関係をテーマにした本です。『春の呪い』よりもさわやかなので闇な内容が苦手な人も読めます。