ブックワームのひとりごと

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12歳差の恋愛とそれとすれ違った人たち 新海誠『小説 言の葉の庭』感想

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小説 言の葉の庭 (角川文庫)

雨の匂いは好きですが、出かけるのが面倒になってしまいます。

今日の本は『言の葉の庭』。ノベライズとして評判がいいので読んでみました。

 

あらすじ

雨の日の公園で出会う謎の女性。主人公は彼女に惹かれていきます。第三者の視点を交えながら、12歳差の男女の恋物語を描きます。映画『言の葉の庭』のノベライズ小説。

 

「いい人」なのに泥沼にはまる人たち

基本的に主人公二人の視点で進む映画と違って、小説版は脇役の視点も交え、ラブストーリーを主軸にした群像劇のような構成になっています。

登場する脇役たちは、根はいい人たちなんですが、それぞれに事情を抱えていて、うっかり人を傷つけてしまったり、思考の泥沼にはまってしまったりします。悪人はいないのに事態を悪化させてしまうのは悲しいですが、リアリティもあります。

しかし、どうしようもない業を抱える人たちも、それぞれ別の人生を歩んでいってくれそうな結末だったので安心しました。

どうにもならないことはたくさんあるけれど、それでも歩いていくしかないよね、という優しさを感じました。

 

年の差大好き

私はね、何を隠そう年の差ものが好きなんです。

映画ではほのめかすだけだった、「年下に恋する」ことに対しての雪野の葛藤がしっかりと書かれていたのがうれしかったです。やっぱり年の差ものではこの部分は必須ですよね。

経験不足ながらも、好きな人に寄り添おうとする高校生というのもまた良いですよね……。

ただ、やっぱり新海誠らしい気障な言い回しは多いので、立ち読みでちょっと中身を確かめてから買うことをおすすめします。どうしても好き嫌いは分かれてしまう文章です。

 

まとめ

物語を掘り下げるという目的はしっかり果たしてくれたノベライズでした。面白かったです。

また機会があれば映画も見直したいですね。

 

言の葉の庭 Memories of Cinema

言の葉の庭 Memories of Cinema