ブックワームのひとりごと

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おえかき少女の痛々しくも美しい青春 久世番子『私の血はインクでできているのよ』感想

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私の血はインクでできているのよ (ワイドKC Kiss)

 

あらすじ

漫画家、久世番子が「おえかき少女」だったころの自分を回想。修学旅行のしおりの表紙を狙う、同人イベント参加、昔の同人誌の在庫……昔の恥を語りつつ、絵に夢中だった青春時代を懐かしむコミックエッセイ。

 

 

笑えて辛くなるドキドキエッセイ

他人の恥の話ってなんでこんなに楽しいんでしょうね! しかしこの作品の場合は自分にブーメランが返ってきます。

私も絵ではないけれどいろいろ黒歴史を持っているので他人事ではなかったです。こわい。

これは私の意見なんですが、創作に関しては初心者はどうあがいても恥ずかしい作品しか描けないので、若いうちに恥をかいておいた方が後々気が楽ですよ! というわけで若い人は今のうちにどんどん恥ずかしい作品を出すといいんじゃないかな……。

話がそれましたが、著者の漫画家としての今も「イタい」過去があってこそなので、そういう運命のつながりも含めて愛しくなってきます。

思い出すのがつらい、でも大切な青春を覗き込むことができる作品です。

 

コミックエッセイなのに描き込みが多い

コミックエッセイなのに描き込みが多くてうれしいです。著者の自画像はゆるキャラみたいな外見ですが、ちょっとした茶番が結構がっつり描き込まれてて笑います。

コミックエッセイってあまり描き込まれないことが多いです。こうしてがっつり漫画っぽい絵になると、逆に虚構に夢中になっている作者の脳内世界が見えるようで面白いです。

作者は本業がコミックエッセイというわけではないけれど、独特の描き方を確立していてかっこいいですね。

コミックエッセイと言えども多様な表現ができるのだなと再確認しました。他の作品も読んでみたいですね。

 

まとめ

独特の表現と恥ずかしさが入り混じって楽しめました。ものづくりって本当に楽しいですよね。

青少年にはこれからも黒歴史を量産してほしいところです。

 

私の血はインクでできているのよ (ワイドKC Kiss)

私の血はインクでできているのよ (ワイドKC Kiss)