ブックワームのひとりごと

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漫画とともに読める飯テロエッセイ 平松洋子『サンドイッチは銀座で』感想

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サンドウィッチは銀座で (文春文庫)

図書館で谷口ジロー追悼特集が組まれていたので、つい借りてしまった一冊です。

ときどき追悼特集みたいなものに反感を持つ人を見かけるけれど、作品は読まれなくなったときに死ぬから、「この間ニュースで亡くなった人はどんな作家なんだろう」というきっかけで読むのもいいことだと思います、

 

 

書籍概要

フードジャーナリストの著者が、名店をめぐる食べ物エッセイ。オムライス、てっちり、サンドイッチなど、東京や大阪を歩きながら、おいしい食べ物を追求するシリーズ。

 

読んでいるとお腹がすく

読んでいるとどんどんお腹がすいていくシリーズでした。前に「食べ物描写はポルノに近い」と話している人がいて笑ったんですが、これを読んでいるとその主張もついうなずいてしまうところがあります。心の理屈ではない部分に訴えてくるところは確かにエロと似ていると思います。

食べ物に関する文章は、その人の生活感が出てくるところがいいですよね。食事のために大阪に飛び、下町の食堂でお腹いっぱい食べ、必要とあらば日本共産党の食堂にも行く。食べ物のためならどこでも行くという精神が好きです。自民党の食堂も取材したかったけど断られたそうです。受ければよかったのに!

少しずつさくさく読めるので、時間つぶしにはちょうどいいです。でもご飯前に読んでいると、お腹がすきすぎて辛かったです。満腹感があるときに読んだ方がいいかもしれません。

 

装丁・挿絵も含めた美しい一冊

漫画家、谷口ジローの挿絵ならぬ挿漫画も雰囲気があって楽しいです。エッセイをそのまま漫画化するのではなく、ちょっとずらして描かれているところが距離感があっていいです。夫婦善哉の漫画化は絵柄と似合ってて素敵でした。

挿絵のある本が好きなので、こういう挿絵に気合が入っている作品を見ると嬉しくなってきます。

表紙のデザインもシンプルでかっこいいです。大人のためのエッセイという雰囲気があります。装丁、挿絵も含めてこの本をプロデュースしようという気概を感じます。

内容がひたすらおなかがすくというのももちろんですが、漫画やブックデザインでそれをバックアップするところが完成度高いです。

 

まとめ

のんびり読めてお腹がすく作品でした。空き時間に読むのにちょうどいい本です。

谷口ジローの飯テロイラストが見たい人もぜひ。