ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

王道でも丁寧に書きさえすれば傑作になりうる 『けものフレンズ』感想

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック (2)

kemono-friends.jp

Gyaoの無料配信で数話見てみるか~と軽い気持ちで見たらドはまりしてしまいました。

すごい本当にすごい。

 

あらすじ

人間型になった動物たち「フレンズ」が住むジャパリパーク。そこに新しいフレンズがやってくる。しかし彼女は何の動物か記憶がなかった。「かばん」と名付けられた新しいフレンズは、自分が何の動物なのか知るために、サーバルキャットのサーバルと旅に出る。

 

知能低くないじゃん

「知能が低下するアニメ」と言われていたのでどんなカオスなアニメかと思ったら、いい意味でまっとうなアニメじゃないですか!

「自分が何者か知る旅」「旅の中で友達を作る」「みんなで協力する大切さを知る」というさまざまな王道要素を過不足なくきっちり描いています。べたべたな話の流れでも、伏線や展開を丁寧にやれば面白いという好例です。

確かにフレンズたちはものを知らないけれど、それはもともと動物なんだから当然ですよね。

3Dも最初は違和感がありましたが、キャラクターが好きになってしまえばどうでもよくなりました。確かにそんなにお金はかかっていなさそうですが、見せたいのは高度な技術ではなくストーリーなんだろうと思います。

 

描写に無駄がない神展開

さらにすごいのが描写に一切の無駄がないところです。

フレンズたちが何気なくしている行動は、動物の行動に基づいています。けものフレンズで気になって動物について調べてみると、その描写の意味に気づきます。そしてもっと調べてみたくなるという好循環。

伏線の張り方も回収の仕方も、さりげない上にスピーディで非常にスマートです。11、12話で一気に今までの描写が伏線だったことがわかるのは見事の一言です。

頭のいい人ではないと考えられない脚本です。お手本にしたい。

繰り返し示されている「個性の肯定」というテーマも押しつけがましくありません。楽しそうなサーバルたちを見ていると、「お互いを認め合うことって素敵なことだな」と自然と思えます。

 

露出少ないのがありがたい

個人的にありがたかったのが、最近の美少女アニメにしては露出やセックスアピールが少ないところ。

セックスアピールがあると作品が見れないわけではないけれど、男の人の欲望を垣間見てしまった気がして若干気まずくなります。

いや、私だっておっぱいは好きだけど。でもすべての二次元の女の子におっぱいを求めているわけではないというか……。不二子ちゃんがお色気なのはいいけどクラリスには清純でいてほしいというか。とりあえず脱がそうとするのはちょっと。

その点お風呂シーンでも肩から下は見えない、パンチラはしない、胸が大きいキャラでもいたずらにそれを強調しない、という健全っぷりで安心して見れました。

そんな健全っぷりなので同じ女性にもお勧めしやすいです。1話見て「結構面白いかも」と思えたら最後まで見て損はないと思います。

 

まとめ

人が死ななくてもドキドキハラハラできるし、重いテーマを扱わなくてもメッセージは伝えられるし、お色気描写がなくても女の子の魅力は描ける、ということを教えてくれた作品だと思います。

続編もあるみたいです。予算を増やして作ってほしいですね。