吸血鬼小説を読むシリーズのつづきです。
表紙のジローが赤いから目立ちますね。
あらすじ
ジローとコタロウが特区にやってきて1年。ミミコは順調に仕事をこなしてきた。そんなミミコの前にダンピールの少女が現れる。一方カンパニーでは、ある真実をきっかけに、吸血鬼と人間の間に亀裂が生まれていた。
リーダーの怒り
この巻は、カンパニーのトップがめちゃくちゃ怒っているところがいいなと思いました。
ここまでされたから当たり前と言えばそうなんですが、ライトノベルだとわりと幹部の考えって描写されないことも多いので新鮮でした。あってもすごく記号的で、作劇のための道具という感じがします。
一方この作品では「怒り」によってカンパニーのことを「ああ、人間が動かしている組織なんだな」と感じられてよかったです。
こういうところをきっちり書くところに、物語の誠実さがあると思いました。脇役でもいろいろ考えているんですよね。
特区は混乱の渦の中に
ラストで特区が大変なことになりました。
カンパニーの人たちも「吸血鬼との共生とは何か」という問いに悩み、手探りで前に進もうとしています。そういうところを見ると、人間がんばってほしいなと思います。
作中屈指のチートキャラ、ゼルマンの不安定さも露呈し、キャラクターの描写自体も深まってきました。これから面白くなってきそうです。
ただ、ミミコがああなってしまったので、これからどう生きていくのか心配です。扶養家族もいることですし。はたしてお金は足りるのか……。
タイトル通り、「風雲急を告げる」といった感じの巻でした。続きを読むのが楽しみです。
まとめ
わくわくするような伏線やキャラクター描写が多くて楽しかったです。
これからどうなるのか、心配と楽しみがないまぜになっている状況です。
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