ブックワームのひとりごと

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結論が月並みでも対話していくことは重要である 海野つなみ 『逃げるは恥だが役に立つ』全巻読んだ感想

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逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス)

 

あらすじ

大学院を出ても正社員として就職できなかったみくり。派遣切りに遭って求職中のみくりに、家事代行の仕事が舞い込んでくる。雇い主平匡(ひらまさ)と良好な関係を築いたみくりは、「就職としての結婚」を提案する。

 

コメディとともに生き方を考える

ジェンダー論の人が評価していたので、なんとなく難しい漫画なのかなと思っていましたが、意外と軽やかで笑える漫画でした。

登場人物の恋愛模様がみんなかわいくて、女性向け漫画としてちゃんと面白いです。

そんな漫画がなぜいろいろな人の心を打ったのかというと、結婚に対するもやもやや、恋愛に対する固定観念を言語化して表現したからだろうなと思います。

その表現の仕方が本当に上手くて、男性読者が多いのもさもありなんという感じです。男性キャラが女性にとって都合のいいキャラではなく、一人の人間として尊重され、恋愛をしています。

読者の対象になっていない性別のキャラっておざなりな描写にされがちです。その点この漫画は優しいですね。

 

平匡さん愛しい

平匡は不器用だし、素直に愛情表現ができない恋愛初心者です。

平匡は色眼鏡をかけて人を判断しないし、色眼鏡をかけていることを自覚して外すことができる男性なんですよね。

頭の良さを呪いのように感じていたみくりには、それが救いだったんだろうなと思います。

あとかなりチョロいところも愛しいです。みくりがじわじわ平匡のことを好きになっていくのに対して、かなり序盤で女性として意識しだすというね……。

そしてチョロいけれど、自分を顧みて冷静に分析できるところも好きです。もうちょっとぐいぐい行ってもいいんじゃない? というところもありますが。

 

対話していくことの重要さ

この作品の根底にあるのは譲り合って生きていくことの大切さです。そういう意味では、夫婦ものとしては王道です。

けれど、平匡とみくりが言葉を尽くしてその答えに迫ろうとしていくところがよかったです。

夫婦関係のもやもやを、どうにか言葉にして、話し合い分かち合っていく。もちろん明快なルールは作りようがないですけれど、それでも対話することでお互いを尊重していく二人がかっこよかったです。

二人の至った結末は特別なものではありません。けれど、過程を知っているからこそ心から祝福したくなる、そんな話でした。

 

まとめ

登場人物みんなかわいいし、内容も面白くて最高でした。

他人と一緒に暮らすのは難しいですが、それでも話し合って生きていくことは尊いなあと感じました。

みくりと平匡は、 これからも工夫して生きていくんでしょうね。