ブックワームのひとりごと

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2017年上半期に読んだおすすめ本19選

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速いもので、このブログも400記事を超えました。

今回は、2017年上半期に読んだ中で面白かった本の紹介です。

例によって新刊が少ないのは許してください。

 

 

 

『そばかすのフィギュア』菅浩江 ハヤカワ文庫

生きているフィギュアを作る表題作などを収録した、SF短編集。

 設定そのものは難しくありませんが、そこに描かれる人間たちの葛藤はハードです。読んでいて痛々しくなってきます。

SF的なできごとを前に、人間がどうするのかという視点で楽しめました。

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

 

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 『天才と発達障害』岡南 講談社

 発達障害を「認知の偏り」によって説明する本。

発達障害は才能があるからすごい」という本ではなく、天才の日常生活や作品から発達障害の傾向を見ていこうとする本です。

「自分はどういう認知の傾向があるだろうか?」と問いたくなりました。

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

 

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 『フィーヴァードリーム』ジョージ・R・R・マーティン 創元ノヴェルス

蒸気船を舞台に、人間と吸血鬼が友情を結ぶホラー+友情もの。

アメリカの奴隷制時代という時代設定がテーマにも話の筋にもぴったり合っていて面白かったです。

 主人公の船長もキャラクターが濃く、そしてかっこいい男なので読んでいて爽快でした。

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

 
フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)

 

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 『僕が七不思議になったわけ』小川晴夫 メディアワークス文庫

謎の幽霊に学校の七不思議にされてしまった少年の四季折々。

普通のほのぼの青春ものだと思ったら、衝撃的なしかけが用意してありました。とてもびっくりしました。

感想を書いておいて何だけど、何も知らないまま読んだ方が面白いと思います。

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 『エスケヱプ・スピヰド九岡望 電撃文庫

昭和のまま科学技術が発達した日本のような国で、人型兵器と普通の女の子が出会う話。

熱いバトルとキャラクターの魅力が合わさった良質なライトノベル。主人公二人がかわいいです。

イラストも作品に似合っていて二重丸。

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 『銀の街から』沢木耕太郎 朝日新聞出版

 読むと映画が見たくなる読書感想エッセイ。

美しく、わかりやすい文章で書かれています。読んでいると見たい映画がどんどん増えていきます。著者の映画へのこだわりが伝わってきました。

一つの作品当たり3ページ程度で、さくっと読めます。

銀の街から

銀の街から

 

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 『発達障害のいま』杉山登志郎 講談社現代新書

 発達障害の最新の研究や、支援方法について書かれた本。

発達障害の基礎知識が頭に入っていないと難しいですが、その分新しい情報が多くてよかったです。

家族全体へのサポートが一番の近道だと思える本でした。

発達障害のいま (講談社現代新書)

発達障害のいま (講談社現代新書)

 

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 『バスジャック』三崎亜記 集英社文庫

 バスジャックが娯楽化した世界の話など、ちょっとおかしな話がまとめられた短編集。

表題作「バスジャック」が一番良かったです。ああいうわけのわからないまま成立している小説大好き。

特殊な設定を、出オチで終わらせない短編集でした。

バスジャック (集英社文庫)

バスジャック (集英社文庫)

 

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 『血と霧』多崎礼 ハヤカワ文庫

血がすべてを決める世界で、娘を探す父親のもとに王子様が転がり込んでくる。

ハードボイルド+スチームパンクファンタジーな小説です。練られた世界観と、構成が面白いです。終盤から始まる怒涛の伏線回収は見もの。

主人公がモテまくりますが、「モテて当たり前だな」と思うくらいいい人なので気になりません。

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 『日の名残りカズオ・イシグロ ハヤカワ文庫

 老執事が旅行をしながら昔を回想する小説。

武勇伝の自慢かと思いきや、読み進めるうちに彼の愚かさや後悔がわかってきます。そして最後に隠されていた思いがわかり、やるせなさでいっぱいになりました。

「前を向いて生きるしかない」というのはあきらめでもあるのだなと感じました。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

 

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 『アナンシの血脈』ニール・ゲイマン 角川文庫

クモ神の息子は、生き別れたきょうだいに再会する。しかし彼は主人公の人生をひっかきまわしていき……。

ここまで寝取られがポップに描かれている小説は初めて見ました。冷静に考えると深刻なのに、笑ってしまいます。

 ストーリーははちゃめちゃですが、先が気になってどんどん読み進めてしまう本です。

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 『ななめカンナヅマ』 木村航 ファミ通文庫

 おかしな人間が作ったおもちゃの世界にやってきた神無妻の七芽。彼女は大人になろうとする少年に出会う。

暗喩と象徴が多用された、宗教絵画のような世界観が好きです。読み進めるほどに深読みしたくなります。

難しくはありますが、ストーリーの筋は成長物語なので、安心して読めます。

ななめカンナヅマ (ファミ通文庫)

ななめカンナヅマ (ファミ通文庫)

 

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 『古代ギリシャのリアル』藤村シシン 実業之日本社

 今までのイメージを払拭する古代ギリシャの入門書。

古代ギリシャにおける基礎的なことが主ですが、ほぼすべての情報に一次資料の出典が書かれているところがすごいです。

信憑性が上がるのはもちろん、「もっと調べたい」という人に即対応できる素晴らしい入門書でした。

古代ギリシャのリアル

古代ギリシャのリアル

 

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 『あなたのための物語』長谷敏司 ハヤカワ文庫

 人工人格に小説を書かせる実験を始めた研究者は、自分が不治の病であることに気づく。

主人公の生々しい死への恐怖がつらかったです。それを見た人工人格が、彼なりに彼女を助けようとするところが切なくなります。

結末は厳しいものでしたが、少しだけ希望が残されました。

あなたのための物語

あなたのための物語

 

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 『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』嵯峨景子 彩流社

 少女小説の代名詞ともいえるコバルト文庫。その歴史を中心に、少女小説の歴史を調査した本。

時代によって少女小説の読者層が変わっていくのが面白かったです。今は少女小説の冬の時代ですけれど、形を変えて血脈が続いているのもわかってよかったです。

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史

 

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 『しっかり! まとまった! 文章を書く』前田安正 すばる舎

まとまった文章を書く方法を、実例を挙げながら解説する。

 文法や読み易い表記ではなく、「話を膨らませる方法」に重きを置いた内容です。短文は書けるけど、長文がなかなか書けない人におすすめの本です。

レイアウトも見やすくて好きです。

しっかり!まとまった!文章を書く

しっかり!まとまった!文章を書く

 

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 『クワイエットルームにようこそ松尾スズキ 

ある日目覚めると精神科の閉鎖病棟の中にいた主人公が、脱出を図ろうと奮闘する。

ギャグなのかシリアスなのかわからない浮遊感のあるストーリーです。「正常」と「異常」の間を行き来する主人公の姿が胸にきました。

 ハッピーエンドではないですが、どこか希望のある結末でした。

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)

 

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  『あたし研究 自閉症スペクトラム~小道モコの場合』小道モコ クリエイツかもがわ

絵が描くのが得意な著者が、自閉症スペクトラムである自分を分析したイラストエッセイ。

辛いことでも冷静に自分を分析していて、まさに「あたし」の研究でした。

発達障害の人には言葉より絵で説明したほうが通じることも多いので、文字が苦手な人にはおすすめです。

あたし研究

あたし研究

 
あたし研究〈2〉自閉症スペクトラム―小道モコの場合

あたし研究〈2〉自閉症スペクトラム―小道モコの場合

 

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 『カワイイ! 少女お手紙道具のデザイン』北島郁・山田俊幸

 昭和初期の女学生たちの手紙を収集し、紹介する本。

デザイン本というより読み物として面白いです。女の子の疑似恋愛めいたやりとりが面白いです。

昭和初期が好きな人には、文化の資料としておすすめです。

カワイイ!少女お手紙道具のデザイン

カワイイ!少女お手紙道具のデザイン

 

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 まとめ

というわけで、2017年上半期の面白かった本まとめでした。

皆さんの本を選ぶときの参考になれば幸いです。