ブックワームのひとりごと

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ティーンの少女との共依存関係の行方とは 唐辺葉介『電気サーカス』感想

電気サーカス

熱烈におすすめしている人がいて気になった本です。

 

あらすじ

テキストサイト「電気サーカス」を運営している主人公水屋口。ネットの仲間と部屋をシェアし、フリーターとして暮らす。そんな中、水屋口は真赤(仮名)という中学生に出会う。

 

露悪的ではあるけど不快ではなかった

話が進むにつれ、主人公はラムネ感覚で精神薬をかじり、定職にもつけなくなっていきます。ここからどうするの? と思うくらいの堕落っぷり。

そんな露悪的な小説ですが、不思議とあまり不快な感じはしませんでした。その理由は、堕落への悲哀や批判があまりなく、淡々と書かれていたからだろうなと思います。

家庭の事情や人間関係など、水屋口が堕落する原因は示されているのですが、それを「かわいそう」に書かずにさらっと描いているのが独特でした。

そして一人称では淡々としている水屋口も、はたから見ると狂気にとらわれているところが逆にリアリティがありました。自分を観察しているけど、自分をコントロールできていない……。

 

共依存関係の終焉

このストーリーの本筋のひとつが、主人公と真赤の共依存関係です。見ていて本当にダメだな……と思うのですが、なぜだか目が離せません。

でも、最後のシーンを読むと、あれは真赤にとってだけではなく水屋口にとっても遠回りすぎる青春だったのかもな……と思いました。

狂騒は過ぎ去り、後に残るのは「普通」の自分。幻のように過ぎ去った、苦しみと混沌の時代。ドラマのように劇的ではありません。しかしこれはこれで、いい結末でした。

真赤はどうしようもない地雷女なんですが、「こういう女いそうだな」と思ってしまってなんとなく嫌いになれません。いや、現実に合うのは絶対に嫌ですが。

 

まとめ

分かりやすいエンターテイメントな話ではありませんが、心に残る小説でした。

読み終わってうれしいと思うより、漠然とした虚無がありました。面白かったけど二回目は読みたくありませんね!

電気サーカス

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