前々から面白そうだな~と思ってて、本屋に平積みされていたのを発見して買いました。
あらすじ
就職氷河期の時代、著者、榎本まみがなんとか内定をとったのはクレジットカード会社。彼女はそこで、キャッシングの返済を延滞している人たちに督促をする仕事に就く。あまりにブラックな部署に心が折れそうになるが……。
「早く辞めなよ」と思いながらも
会社自体はそこまでブラックじゃないのに、督促の部署だけ超絶ブラックになっているのが怖すぎましたね。
あまりの待遇の悪さに「早く辞めなよ」と思うんですが、著者が督促を続けていないと、この本が書かれることもなく、私が督促の仕事を知ることもなかったでしょう。
それを思うと、流されて仕事を続けていくということはそんなに悪いことでもないのかもしれません。
人に恨まれ蔑まれているけれど、社会をまわすためには必要な仕事です。陽の当たらない「督促」という仕事はどういうものか知るには良いエッセイでした。
でも知り合いがこの仕事やってたら「そんなブラックな仕事辞めなよ」と言いそうです。そのくらい大変な仕事なんですよね……。
解説:佐藤優
驚いたのが、巻末の解説が佐藤優だったことです。この人何でも読むな……。
解説ってつまらないものも多いけど、きちんとこの本を読みこんだうえで鋭い指摘をしている内容で、面白かったです。
佐藤優も述べていたことですが、この本の面白さは、著者が督促という仕事を通して人間への洞察を重ねているところです。ただブラックな仕事がつらい! 悲しい! と話すだけではなく、そこに生まれるドラマを電話越しに察するのが興味深いですね。
恋人(多分)にカードを貸し、カードを止められてしまう女性の話が印象深かったです。カードを止められることを受け入れるまで、いったい何があったんだろう……と思いをはせたくなりました。
まとめ
自分の知らない情報ばかりで面白かったです。
人に恨まれる仕事でも、世の中に必要だということがわかりました。彼らの待遇がもっとよくなりますように。