ブックワームのひとりごと

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怖くておかしくて美しい短編小説をアンソロジーに 西崎憲編訳『怪奇小説日和 黄金時代傑作選』感想

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怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)

 

書籍概要

おどろおどろしく、怖くて、美しい。そんな怪奇小説の18編を、古典的なものから新感覚なものまで、一冊にまとめ翻訳したアンソロジー。

 

オチないところが恐ろしい

怪奇小説ということで、わかりやすいオチのあるものは少なく、読んだ後に妙な気持ちになるものが多いです。

でもそのわけのわからなさが、また幻想的であり、怖くもあります。ホラー小説だってオチのないもののほうが怖かったりしますからね。

 

各話感想(抜粋)

収録作品が多いので、好きな作品のみピックアップします。

 

「墓を愛した少年」フィッツ=ジェイムズ・オブライエン

お墓を溺愛する夢見がちな少年の話。

まず「墓を溺愛する」という発想がすごいし、それが鮮やかに美しいものとして思えるのもすごいです。

短編映画になりそうな小説でした。

 

「七短剣の聖女」ヴァーノン・リー

女遊びが激しい男が、ある女性を追い求め……。

完全に私怨な気もするけど、女好きのろくでなしがひどい目に遭うだけでポイント高いですね! もっとひどい目に遭ってくれても良かったです!

 

ボルドー行の乗合馬車」ハリファックス卿

ボルドー行きの乗合馬車は何時に出発しますか?」と聞いたばかりに災難に巻き込まれる男性。

世にも奇妙な物語っぽいテイストで、主人公が状況を理解できないまま進んでいくのが面白かったです。

 

「ターンヘルム」ヒュー・ウォルボール

主人公は「塔に入ってはいけない」と言われる。そこでは何が行われているのか……。

変身ものが好きなので面白かったです。ちょうど調べていたものに関連していたのでタイムリーでした。

 

「失われた船」W・W・ジェイコブズ

遭難した船から帰ってきた男。彼の帰還に人々は湧くが……。

単純な話なのに面白いです。それは情景がはっきりと思い浮かべられるからかもしれません。

周囲の人はショックだったでしょうね。

 

まとめ

書店ではあまり見かけない作家ばかりで新鮮でした。世の中にはまだまだいろんな作家がいるんですね。

姉妹編もあるみたいで、機会があればそちらも見てみたいです。

短篇小説日和―英国異色傑作選 (ちくま文庫)

短篇小説日和―英国異色傑作選 (ちくま文庫)