ブックワームのひとりごと

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それぞれの決戦前夜に思うことは あざの耕平『BLACK BLOOD BROTHERS10 銀刀出陣』感想

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BLACK BLOOD BROTHERS10?ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣? (富士見ファンタジア文庫)

 

あらすじ

カンパニーが特区を奪還する「Xデー」が近づく中、ミミコを中心とした人々は対応に追われる。一方、香港では血の気の多い吸血鬼が集まりつつあった。それぞれの最終決戦の前夜が過ぎていく……。

 

 

今まで出てきたキャラクターが大集合

それぞれのキャラクターが登場し、最終巻への伏線を張っていくのは王道だけどやっぱりわくわくしますね。

特にジローに関しては、「遅刻魔」というコメディタッチの設定が、こういうシリアスなシーンで演出として使われるのはいいですね。

ヒーローは遅れてくるもの、という言葉が真に迫っています。

九龍の血脈も「彼らが生きる意味」を定義し、戦っているにすぎません。そういう敵役の意図がわかると、物語に奥行きが増しますね。

ここまで来ると、全員に見せ場があってほしいなと思います。これからどうなるのでしょうか。

 

政治的な描写の弱さ

しかしここ数巻の展開で思うのは、政治的な描写の弱さですね。

「乙女」であるミミコがなぜさまざまな血族の協力を取り付けられたのかがはっきりと感じられません。いや、物語中で説明はされているんですが、その説明がしっくりこないというか。

思い返すと、ミミコが行った演説というのがほんの冒頭しか書かれていなかったし、ジローに関してもそうなんですよね。だから「血族の協力を取り付けました!」って言われても、唐突な感じが抜けないんだろうなと思います。

「乙女」の政治的役割がもっとはっきりと、リアリティを持って描かれていれば、こういう違和感は覚えなかったでしょう。

ただそれは作品の本題ではないだろうし。しょうがないのかもしれません。

 

まとめ

決戦前夜ということで、盛り上がってきた巻でした。

あと一巻で終わり、どういう結末をたどるか楽しみです。