最近読んでる吸血鬼ものの中で一番イロモノっぽい題材だ……。
あらすじ
吸血鬼に母親を殺され、復讐を誓ったエイブラハム・リンカーンは、ヴァンパイアハンターとして吸血鬼を屠っていく。しかしエイブは、奴隷制があるかぎり吸血鬼を滅ぼすことはできないと気づく。
だいぶ出オチ感がある
まず「エイブラハム・リンカーンを吸血鬼ハンターにしよう」という発想がだいぶぶっ飛んでますし、実際に長編小説として書いてしまうのもまたすごいです。
そしてそこに、「ヴァンパイアを飢えさせるため奴隷制を廃止した」という意味付けを持たせてしまう大胆さ。確かに奴隷は殺されようが行方不明になろうが罪がないので、吸血鬼にはうはうはなんですよね。
吸血鬼と奴隷制時代をドッキングさせた話と言うと、『フィーヴァードリーム』を思い出します。
でも『フィーヴァードリーム』との違いは、エイブがわりと孤独なことですね。
嘘を本当に見せる努力の跡
笑うのがこの本の随所に提示されたエイブラハム・リンカーンの写真や絵です。吸血鬼を屠っている絵とか、「この人物はおそらく吸血鬼」と添え書きをされていたりとか。
どのくらい加工されたものかはわからないんですが、その「本当らしく見せる」努力に笑ったし感心しました。絶対Photoshop使いの仕業ですよね。
リアリティと荒唐無稽さだと、荒唐無稽な部分の方が圧倒的に大きいんですが、それを現実の話としてまとめようとするところが逆に面白かったです。
作品の内容はシリアスで、主人公エイブも必死に悩んでいるんですけれど、読者的にはちょっと笑ってしまう……そんな本でした。
まとめ
嘘を大真面目に書いているところが面白かったです。こういうの、我に返ったほうが負けですね!
『高慢と偏見とゾンビ』も読みたいんですが、まず『高慢と偏見』を読んでないのでそれからかな。
- 作者: セス・グレアム=スミス,THORES柴本,巽孝之,赤尾秀子
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 文庫
- クリック: 24回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
- 作者: ジェイン・オースティン,セス・グレアム=スミス,安原和見
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2010/01/20
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 6人 クリック: 218回
- この商品を含むブログ (82件) を見る