ブックワームのひとりごと

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本を愛する古書店主が張り出した張り紙をたどる さかもとけんいち『ほんじつ休ませて戴きます 人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集』 

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ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)

知り合いのおすすめで手に取った本です。大阪の話ですしね。

 

書籍概要

大阪の古本屋「青空書房」。そこに貼られた「ほんじつ休ませていただきます」という張り紙には絵と一言が書かれている。その張り紙を紹介しながら、店主が半生を語っていく。画集と語りが一緒になった一冊。

 

びっくりするほど絵が上手い

まず著者の絵描いた絵がすごく上手かったです。絵手紙風のデフォルメがきいた絵が魅力的でした。

そして添えられた言葉も、きれいな言葉を使っていながらきざにならず、自然に受け止めることができるものでした。さまざまな本を読み込み、言葉の使い方を意識している人が書く文章だなあと思います。そういう言葉で本への愛、本がなぜ心を広げていくのかを語るのを見ていると、もっと本を読みたくなってきました。

著者はお金がなくて大学に通えなかったようで、彼の教養豊かな世界がこうして日の目を浴びることができて良かったと思います。

昔は彼のように、勉強したくてもできなかった人が多かったのだろうな、と改めて思いました。

 

 

奥さんに感情移入してしまった

そして読んでいるうちに、著者の奥さんに感情移入してしまいました。

家計は苦しいし、店を奥さんに任せてぶらぶらしてることもよくあったんだけれど、奥さんが彼に惚れたのはよくわかる気がします。

置手紙やはがきで感謝を伝え続けることが、奥さんにとって救いだったんでしょうね。

奥さんは著者より先に病にかかり、亡くなられますが、彼女なりに幸せだっただろうなと思います。

でもこれを話しているのは夫である著者なので、それを考えるとある程度疑ってかかったほうがいいのかもしれません……。それを置いておくと、美しい関係でした。

こういう関係はある種の理想ですね。結婚したくなってくる……。

 

まとめ

しんみりできて、優しい気持ちになれて面白かったです。

あふれるほどの本への愛を感じました。

 

ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)

ほんじつ休ませて戴きます―人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集 (ゆうゆうBOOKS)