ブックワームのひとりごと

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悪ノリをしてサハラ砂漠でマラソンすることに 高野秀行『世にも奇妙なマラソン大会』感想

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世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)

Kindle日替わりセールであったので買ってしまった本。高野秀行の本がセールだとつい買いたくなるんですよね……。

 

書籍概要

悪ノリをして西サハラでマラソンをすることになった表題作、インドに入国するため改名をしようとする話、海外で起こったちょっと不思議な話など、掌編~中編のノンフィクションをまとめた一冊。

 

悪ノリの中の深い洞察

短編のノンフィクションは珍しい気がしますが、短いおかげで中だるみせず読みやすかったです。

基本的にバカっぽい展開で進むのに、さらりとその国についての深い洞察が登場するのが面白いです。頭のいい人の書くギャグという感じです。

 

各話感想

「世にも奇妙なマラソン大会」

勢いで西サハラマラソンに参加する話。

一応チャリティイベントなのに悪ノリで来て、浮いてる著者には笑えました。その中で西サハラの現状や、どういう人がこのマラソンに参加するのかというのが具体的にわかるのがよかったです。

 

ブルガリアの岩と薔薇」

知らないおじさんにほいほいついていったら貞操の危機に見舞われる話。

笑い事じゃないけど笑ってしまいます。おじさんがいい人でよかったです。

でも男性は普段「大切にされる」というシチュエーションに慣れていないという意見は新しい視点でした。

 

「名前変更物語」

ブラックリストに載ってしまったインドに向かうため名前を変えることにチャレンジ。

改名ってこんなにややこしいんだなあと改めて思いました。離婚してくれと言われた妻の抵抗が面白かったです。

 

「謎のペルシア商人 インド・アフリカ奇譚集」

著者が海外で出会った少し不思議なできごとを描く掌編エッセイ集。

怪談じみたものから、小粋な偶然、さまざまなアプローチがあるのがよかったです。

オチの切り取り方も上手いなあと思います。余韻があるんですよね。

 

まとめ

著者の本は長編ノンフィクションを読むことが多かったですが、このノンフィクション集も新鮮でした。

また機会があったら他の本も読みたいです。

世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)