創作者っていうのは繊細な人が多いので、インディーズのゲームは紹介していいのか悩むんですが、これはよさそうかな……と思って紹介。
あらすじ
好きな人と一緒にいると雪を降らす能力がある奈夏。能力者組織のエージェントである穂波は、彼女が周囲に害を及ぼさないように好きな人と引き離そうとする。穂波は演劇部に入り、奈夏の思い人である部長の俊介に「愛してる」と言わせようと画策する。
分岐なし、読むだけゲームだけどしっかり物語を楽しめる
ノベルゲームですが、分岐がないので、絵付きの小説といった感じですね。
分岐がない分、作品の内容をじっくり楽しむことができてこれはこれで面白かったです。
まず、キャラクターたちがいい意味で「普通」で、読んでいて親しみを持てるのがいいです。
至らないところも、うまくいかないところもあるけれど、それを含めて彼らが愛しくなってきます。
演劇部の脇役も、せりふは少ないながらもいい味を出していて、丁寧に作られているんだなあと実感しました。
派手なところはない作品ですが、描写が丁寧なことで面白いものに仕上がっています。
演劇に青春をかける少年少女
タイトルからわかる通り、この作品は演劇がモチーフになっています。
主人公である穂波は、「奈夏の恋をあきらめさせる」という不純な動機で演劇部に入ります。しかし、演劇部との交流や奈夏の本気さを通して演劇の面白さに目覚め、公演の成功を一緒に目指し始めます。
それが本当に面白そうに描かれているので、演劇はほぼ素人なのに「演劇を見てみたいなあ」と思えるようになりました。
ステージの上でスポットライトを浴びる喜び、みんなで同じ作品を作り上げる達成感、万雷の拍手を浴びる陶酔。それを登場人物が楽しそうに語るので、私も楽しくなってきました。
作中で演劇が終わったとき、どこか寂しい気がしたのは、それだけ物語が魅力的だったということなのでしょう。
まとめ
面白かったです。機会があれば他の作品もやってみたいですね。
すごく地味な作品ですが、それだけにあまり萌えに興味のない人にも面白く読めると思います。
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