ブックワームのひとりごと

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記憶を失う薬が人々を狂わせる 小出もと貴『アイリウム』感想

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アイリウム (モーニングコミックス)

 

あらすじ

一定の期間記憶を飛ばす薬「アイリウム」。その薬を手に入れた人々は、少しずつ運命を狂わされる。主人公とシチュエーションを変えながら展開する連作短編。

 

面白いけど、少し教訓くさいのが難点

設定とストーリーは面白いんだけど、ラストが説教臭い気がしてそこがあんまり好きではなかったです。

ストーリーに力があるから、わざわざ教訓めいたオチにしなくても、作品から学ぶ人は学んでくれるのではないでしょうか。

 

各話感想

File001 映画監督志望

映画監督を志望しながら、作った映画は鳴かず飛ばずだった男は、同窓会をきっかけにアイリウムに手を出す。

アイリウムの紹介的な内容。結構幸せに生きていたのに、とつぜん記憶を失うなんてむなしいですね。

 

File002 兵士

トラウマを予防するためにアイリウムを飲む兵士たち。兵士は記憶を失っている間に死亡し消えていく。

なかなかブラックな内容でした。命の軽さがなんともやりきれないですね。

 

File003 ママ友

アイリウムを飲んで打ち明け会をするママ友たち。しかしアイリウムを飲んでいない人がいて……。

オチはなんとなく察してしまったのでちょっと退屈でしたね。もっと二転三転してもよかった気がします。

 

File004 ロックンローラー

父が娘に、アイリウムを飲んで離婚した理由を語る。

悲哀を感じられて好きな話です。平穏を望んで、逆にふられてしまうというのが悲しいですね。

 

File005 ホスト

悪辣なホストクラブから脱出しようとするホスト。彼らはアイリウムを利用することを思いつく。

サスペンスで面白いです。どうなるのかはらはらしながら読みました。

 

File006 女医

アイリウムを飲むことを拒否している女医の話。

自分でもよくわからないままに記憶を失うことを拒絶する彼女。その理由がわかっていく過程が良かったです。

 

File007 研究者

アイリウムを研究していた教授を補佐していた男は、介護の現場で彼と再会する。

今までの話のまとめ的な作品。これからの日本が心配になってくるオチでした。

 

まとめ

設定や話は面白かったけれど、メッセージ的な部分がしっくりこなかったです。ちょっと唐突な感じがありました。

 まあまあ楽しめたかな~という程度ですね。

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