親からの借りもの。コミックエッセイはよく貸し借りしてます。
あらすじ
エンジニア(技術者)として働いていた著者は、その経験を生かして他の技術者たちを取材したり、過去の優秀な技術者の功績を漫画化したりしていく。あまり日の目を浴びることのない、エンジニアたちの生き方とは……。
面白くも哀しいエンジニアの世界
大きな工業用の機械から、コンセントなどの小さな製品にいたるまで、さまざまな人の手を通して機会が作られているのだということがわかりました。
普段なんとなく使っているものが、どこから来たのか気になるようになりました。
技術者たちは、小さなものづくりであってもやりがいをもってやっていることがすごいです。
一方で、他者に技術をパクられて特許を奪われたり、会社が倒産したり、作ったゲームが全く売れなかったり……と、悲しいエピソードがたくさんあります。
それでもものづくりをやめないのは、それだけやりがいのある仕事だからだろうなと思います。
採算が取れないのをただの笑い話にしてほしくない
ただこの本には不満があります。赤字を出すことをきれいごとみたいに、あるいはただのギャグみたいに言うことですね。
会社のお金は技術者だけのものではなく、職場全体のもの、ひいては株主のものでもあるわけで、赤字を笑い事みたいに書くのはすごく違和感がありました。
全体がギャグでも、そこになんらかの批判があれば納得がいったんですけれどね。
演出上のものではあるんだろうけど、もし採算をとることよりもロマンというあいまいなものを優先するのであれば、世間が技術者に理解がないのは自業自得という気がします。
私は技術者じゃないので、そこにはそこの倫理観があるんでしょうが、どうにも納得がいきませんでした。
まとめ
全体としては面白かったけれど、細部に文句があるな……といった感じです。
技術者がどんな風に仕事をしているのか、興味のある人には楽しく読めると思います。