dtvにあるおすすめ映画記事にあった作品です。
あらすじ
商店を経営しているイラン人、札付きのワルである黒人青年、テレビドラマの脚本家をしている男とその妻……などなど。ひとつの事故をきっかけに、それぞれの運命がリンクしていく群像劇。
抗いながらも汚れていく人々
この作品の大きなテーマに「人種差別」があります。登場人物の多くは、多かれ少なかれ差別的な言動をしています。それがとても露悪的で、胸が悪くなります。
しかし、映画を見ているうちに、彼らもまた人種差別やステレオタイプ、貧困の中で苦しみ、もがき苦しんでいることがわかります。「差別をする人が悪で、そうでないひとが善」というきっぱりした割り切り方はできません。
明確な善悪がないまま、不平等な世界に苦しみ、また、自分も無意識のうちに不平等な世界の一部になっている……。それを見ていると、むなしくもあり、また怒りを覚えます。
どうにもならない運命の荒波にもまれながら、それでも生きていくしかない哀しみが辛かったです。
思いが通じる一瞬を信じたい
ただ、この作品は辛いだけではなくて、希望も残してくれます。
普段はわかり合えない、考え方も人種も境遇も違う相手と、一瞬心が触れ合う瞬間を描いているからです。
きっとすべてをわかり合うことはできないだろうけど、それでもその一瞬のために、生きていく価値はある。そう思わせてくれる作品でした。
しかし、希望だけ残して終わるわけではなく、もっと深い闇も示すのは、ある意味誠実だと思いました。この作品は、きれいに終わってはいけない作品だったと思います。希望はあっても、やっぱり許されないことは許されないこととしてあると思うので。
全体的に暗くなる作品だけれども、人種差別や多文化共生に興味のある人には見てほしいです。
まとめ
とても憂鬱になる映画でしたが、それでも見てよかったと思います。
差別心からはなかなか逃れがたいものです。それでも抗うことに意味があると信じていたいですね。