カドカワのセールで買った作品はこれで最後です。
あらすじ
第二次世界大戦中、スパイ組織として活躍していた「D機関」。そこに所属するスパイたちは、各国に潜入し、さまざまな情報を集めていた。「諜報」を描いた連作短編スパイサスペンス。
シリーズ化によって作品の穴が見えてしまう
値段分は面白くはあるんですが、シリーズ化したことによって作品の穴が顕著になってきてしまったな、と感じます。
「主人公たちを上げるためにほかのキャラをばかにする」「伏線以外の部分で展開の予想がついてしまう」というミステリやサスペンスにおける悪手をときどきやっているのが痛いです。
面白いことは面白いし、舞台設定が好きな人は楽しめると思うんですが、私はそこまで愛着がないからしんどくなってきました。
各話感想
「誤算」
記憶を失った男は、フランスのレジスタンスと行動を共にする。はたして自分は何者なのか……。
記憶を失ったスパイという設定が面白かったです。自分の意思がわからないままスパイ活動をしている皮肉よ。
「失楽園」
殺人容疑をかけられた恋人のために、真犯人を探して男性が奮闘する。
サブリミナルには科学的根拠がないという研究結果が出てるので、このトリックはあんまり現実味がないと思いますね……。
「追跡」
D機関の「魔王」結城中佐の正体を追うイギリス人記者。ようやく真相の糸口を見つけた彼は……。
イギリス人記者が事件の糸口をつかんだ時点でだいたいオチの予測がついてしまいました。シリーズがまだ続くのに、こんなところで全部わかるとは思えません。
「暗号名ケルベロス」(前編・後編)
豪華客船の上で、敵国のスパイと接触したD機関の男は……。
主人公が敵国のスパイをばかにしまくっていて、それがなんだかなあと思ってしまいました。私はある意味「普通」の人の側なので、こいつぶっとばしたいと思います。
まとめ
面白いことは面白いんですが、シリーズが続くにつれ粗が見えてきてしまったので、次は読まないと思います。
私が妙に察しがいいのがいけないんだろうか……?