『陸と千星』のあと、もう少し野村美月の読み切りが読みたいな、と思ったので電子でぽちっと買いました。
あらすじ
革命のあと、再び女王が政権を取り戻したフロリア。万年スランプな劇作家のオーギュストは、小さな菓子屋を見つける。そこにいたのは、菓子職人アルジャン・カレール。オーギュストは、アルジャンの菓子屋に通い始める。
甘いものが食べたくなる作品
まず、出てくる甘いものがおいしそうで楽しいです。
実際に食べた味だけでなく、作り方やそれを作った経緯も含めて、おいしそうだと思える描写でした。
単なる飯テロではなく、きちんと「おいしさ」が物語に反映しているのがよかったです。食べ物描写はやればいってものではないんですよ!
登場するお菓子には、モデルとなった時代にはないお菓子も含まれているようですが、そういう細かいことを気にせずに読めるパワーがありました。
読み終わってからおいしい紅茶とケーキを食べたくなる、リアルに影響してくる物語でした。
ロクサーヌがかっこいい
ヒロインのひとりである女王、ロクサーヌがかわいいだけではなくかっこよくて、しかもなかなかいい根性しているところが最高でした。
ロクサーヌは、「自分は贅沢が好き」だということを語ったあとで、こう述べます。
「ぜいたくな暮らしをしたいと願うのは、罪かしら? 王侯貴族がギロチンにかけられたのは、贅沢を独占したからよ!」
みんなが豊かになれば、自分も豊かになってもいい。そして国を豊かにすることが、ロクサーヌの国民に対する贅沢の償いなのです。
ロクサーヌが言うことは貧困層の生活の底上げです。「弱者は守るべき」という意見から少し踏み込んだところがよかったです。
まとめ
おいしそうなお菓子描写と、ロクサーヌの独特の魅力が楽しい作品でした。
下巻も購入したので、また読もうと思います。
アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈上〉 (ファミ通文庫)
- 作者: 野村美月,マニャ子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2014/10/30
- メディア: 文庫
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『陸と千星』も面白いのでよろしく~。