ブックワームのひとりごと

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怪物になった子どもたちの裏側にあるものとは 押川剛『「子どもを殺してください」という親たち』感想

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「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)

 

書籍概要

引きこもり、暴力をふるい、親を支配する子どもたち。彼らはなぜ「モンスター」になってしまったのか。精神疾患のある人々を、医療につなげる仕事をしている著者が見つめた、精神医療の矛盾とは。

 

親子関係のたまごとにわとり

親を支配する子どもたちの成育歴には、どこか歪みがあり、その歪みの発露として精神疾患が現れていると著者は説きます。

過度の放任、あるいは過保護、体罰や言葉の暴力など、そういう実例がたうさんあります。

が、本の中の例を見ていると、幼年期から問題行動を起こしている子どもが多く、そういう子に対して「正しい子育て」をするのはなかなか難しいのではないか、ということも思います。

それを言ってしまうとにわとりが先かたまごが先かの問題になるんですが。

 

三者の介入が必要

それでは、破綻した親子関係から脱却し、子どもに犯罪を犯させないためにはどうすればいいのか。著者はこう述べています。

(前略)本人を家庭内に囲い込むのではなく、第三者との関わりを増やすことが重要と言えるわけですが、そのためには、本人に会って直接話をし、必要に応じて説得ができる人物が必要になります。

(P184)

家庭に第三者が介入するのは、なかなか難しいけれど、そうしなければ犯罪は防げない。

精神疾患のある人を中心に、家庭が閉じた世界になってしまうのはとても危険なのだな、ということを考えました。

 

 まとめ

タイトルはセンセーショナルですが、中身としては硬派な本です。決してゴシップめいたものではありません。

読んでいてつらかったけれど、興味深い本でした。

「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)

「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)

 

 

 

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