久しぶりに読み返したくなった本です。
あらすじ
春の初め、散歩に出たスキッパー。彼の前に知らない子どもたちが現れる。スキッパーは彼らと仲良くなり、花冠作りやかくれんぼをする。しかし、彼らはいつも忽然と消えてしまう。こそあどの森にはスキッパーとふたごしか子どもはいないはずなのに、見知らぬ子どもたちはどこから来たのだろうか……。
センチメンタルな終わり方が印象的
これを最初に読んだのは中学生ぐらいだったんですが、センチメンタルな終わり方が印象的でした。
この終わり方は、子どもより年を経た人の方がぐっとくるかもしれません。
スキッパーが見知らぬ子どもたちと遊ぶ子どもパートと、種明かしをする大人パートに分かれていて、両方読んで初めて内容がわかる作品になっています。
大人の記憶と、今現在子どもであるスキッパーが交差するところが、ファンタジーらしい幻想的な雰囲気がありました。
特別派手なことは起こらないんですが、ロマンのあるところがいいですね。
昔は懐かしいけれどもう来ない
この作品では、スミレさんがもうひとりの主人公格になっています。
彼女は不思議に対するセンサーが強いというか、第六感が強いというか、とにかくファンタジー色が強いシーンで活躍することが多いんですね。
でも彼女のいいところは、ちゃんと現実も見ているところです。最後にスキッパーに会いに行くシーンは、それを象徴していると思います。
昔は懐かしいし、幸せだけれど、ずっと浸ってはいられない。目を覚まして今を生きていかなければならないのです。
彼女が「遊び」の終わりを告げるのは、本当にはまっていて好きな終わり方です。終わらなければいけない物語なんですよね。
まとめ
子どものころ読むのと、大人になって読んだのとは印象が違う作品だと思います。
昔を懐かしむ楽しさと、それに耽溺する危うさの両方を描いた作品でした。
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