ブックワームのひとりごと

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情念全部のせラブストーリー―縹けいか『モーテ 水葬の少女』感想

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モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)

今日の更新は『モーテ 水葬の少女』です。

そういえば最近ちゃんとライトノベル読んでないな! と思って久しぶりに入手しました。

 

あらすじ

若いうちに自殺してしまう「モーテ」という奇病がある世界。サーシャは、ドケオーと呼ばれる孤児施設に送られる。そこで出会ったマノンという少女と仲良くなるにつれ、ドゥドゥというフォスター(養育者)が気になっていくのだが……。

 

情念全部のせラブストーリー

なんだこの情念を煮詰めたような小説は……。

序盤のボーイミーツガールから、視点を変えてドロドロ鬱展開に変わり、そしてどうしようもない方向に展開していきます。その過程での心理描写が丁寧で、登場人物と一緒に一喜一憂してしまいます。

正直ストーリー的には強引なところや、詰めの甘いところもあるんですが、描かれている大きな情念にそういうことが押し流されてあまり気にならなかったです。

ただ、ミスリードを多用している作品なので、どこがどう情念的なのかを話すとネタバレになってしまうのが口惜しいです。気軽に引用もできません。

ドロドロした感情や、その中に生まれる愛が好きという人は、とりあえず読んでみてほしいです。

あとがきに「ある女性に捧げるつもりだった」と書いてあるんですが、こんな小説捧げられたらぎょっとすると思います。

(昔の話らしいけど)

 

読み終わってから序盤のページをめくってみると、ちょこちょこ細かい伏線があって二度おいしいです。

サーシャの不安定さや、周りからの疎外が実は理由のあることだと知ってから読むと、彼に対する感情ががらっと変わります。

だからといって、単純に許されるわけではないのが、この作品のシビアなところですね。

 

まとめ

えぐいくらいに情念的でエモーショナルな作品でした。このドロドロ感は好みが分かれると思いますが、私は結構好きです。

機会があれば続刊も読んでみたいですね。

モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)