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オチのひねり方が粋なSF短編集―フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』感想

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さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)

今日の更新は、フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』です。

うっかりすると更新報告しているTwitterのアカウントが凍結されそうなタイトルですね。

 

あらすじ

精神病院に潜入することになったジョージ・バイン。彼には三年前からの記憶がなく、その理由というのは……という表題作ほか、独特の雰囲気を持つSF短編集。

 

ひねった粋なオチが魅力

この短編集は、一ひねりしたオチが魅力的でした。

ただ単純に予想していなかったオチが展開するだけではなく、見せ方が粋なんですよね。

 読者の予想を裏切りながら、物語としては自然な成り行きに見える。そこは非常に筆力を感じます。

 

個人的に好きなのは『おそるべき坊や』の話です。ハービー坊やが手品を見に行き、その種を見抜こうとするストーリーなのですが、衝撃的な結末が待っています。

「ねえ、パパ。まっすぐ劇場に行ったんじゃ、早すぎるんじゃないの」

 うちを出た自動車の中で、坊やのハービー・ウェスターマンはこう言った。

(P51)

 これが『おそるべき坊や』の冒頭です。オチを知ってから読むと、「ああ!」と膝を打つ内容でした。

詳しく言うとネタバレになってしまいそうなので言えないんですが、あざやかな形で短編をまとめ上げ、すっきりした読後感を楽しめる作品でした。

 

一方で、ちょっと翻訳の癖があるので、読むのは大変でした。最初に出版されたのがだいぶ前なので、仕方がないところもあるんですが。

 

まとめ

タイトルほど反社会的な話ではないので、気軽に読んでみてほしいです。そんなに難しい描写も出てきませんから、SF初心者の人にも読みやすいと思います。

 読むのがとても楽しかったです。

さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)

さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)

 

 

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