ブックワームのひとりごと

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ひたすら露悪趣味、でも結構好き―稲庭淳『ラン・オーバー』感想

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ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)

今日の更新は、稲庭淳『ラン・オーバー』です。

表紙と中身の雰囲気が全く違います。

 

あらすじ

転校生、湊里香に秘密を握られた伊園は、言われるがままに同棲生活をスタートさせる。彼女は、クラスのいじめの頂点にいるカップルに反撃することを提案した。それが暴力と侮蔑の渦に飛び込む始まりだった……。

 

めちゃくちゃ悪趣味、でも結構好きです

メッセージ性もなく、教訓的な展開もない。ただ露悪的で趣味の悪い展開が続くだけの話です。

伏線らしい伏線があるわけでもなく、ただ暴力と搾取が繰り返されるだけ。

シンプルな悪趣味さに、おそらく本を投げたくなる人もいると思います。

 

でも、個人的な趣味ですが、こういう話結構好きなんですよね。

性格の悪い主人公が好き勝手やってむかつく連中をボコボコにする、という展開は、読んでいてすっきりします。やってはいけないことをやってのける主人公とヒロインにはある種の疾走感がありました。

自分の中の破壊願望を写し取られたみたいで、少し怖くもありました。

展開上、胸を張って好きと言えるタイプの作品ではないんですけれど、こっそり人に隠れて楽しみたくなる、そんな話でした。

 

私自身は面白いと思っているんですが、正直「えぐい」以外に見どころを説明しにくいので、おすすめしがたい本ですね。

露悪的なもの、ゴシップ的なものが実は好きなんだけれど、それを大っぴらにできない……という人なら楽しめるかもしれません。

 

まとめ

気軽におすすめできるような作品ではないんですが、個人的には結構好きです。

善良な人、フィクションをフィクションと割り切れない人は読まないほうがいいと思います。

ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)

ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)