ブックワームのひとりごと

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内容は面白かったけど訳者のあとがきがダメ―ソル・フアナ『知への賛歌 修道女フアナの手紙』感想

知への賛歌――修道女フアナの手紙 (光文社古典新訳文庫)

今日の更新は『知への賛歌 修道女フアナの手紙』です。

 「本は人生のおやつです」で買ってきた本です

honkuimusi.hatenablog.com

 

書籍概要

類まれなる知的好奇心と文才を持ちながら、17世紀メキシコという女子教育に理解がなかった時代に生まれたソル・フアナ。彼女は勉学のために修道女になり、詩を書き続けた。彼女の詩と、手紙をまとめた一冊。

 

17世紀に生まれた先進的女性

驚いたのは、ソル・フアナが17世紀の人間とは思えない、現代的な思想の持ち主だったことです。

天に入るには多様な鍵があり、天がたったひとつの基準に狭められたことはたことはなく、そこにはさまざまな性向の人のために無数の館があるように、現世には多数の神学者がいます。

(P66)

これなんか完全に多文化主義の考え方ですよね。

一方で、ソル・フアナが信仰を侮っていたかと言うとそんなことはなく、むしろ宗教側が、彼女のロジカルな信仰についていけていない気がします。

 言いたいことを言わずにはおれない彼女は生きづらい人生を歩んだだろうなと思いますが、詩人として大ヒットしたところを見ると、彼女に共感した人が数多くいたんでしょうね。

 

ソル・フアナそのものは大好きなんですが、訳者のあとがきとまえがきがね、いちいちカンにさわるんですよ。

ソル・フアナ面白い面白い、と言ってテクストを手探りで読むのにつきあってくれたのは、二十代の美しく聡明な女子学生たちだった。

(P231~232 訳者あとがきより)

最高学部の准教授でありながら、今どき女性の外見をほめておけば喜ぶと思ってるなら、即刻やめたほうがよろしい。これは著者のためでもあります。セクハラで訴えられても知らないぞ。

 あとは、ソル・フアナのことを美しい美しいというのもなんとも……ソル・フアナ自身は、美貌や外見だけで生きていくのはばかばかしいことだと作中で語っているのに、この人はあんまり理解していないんですね。

ソル・フアナ自身は好ましいけれども、この訳者の本はあまり読みたくなくなりました。

 

 まとめ

ソル・フアナそのものは面白かったですが、まえがきとあとがきは読み飛ばせばよかったな、と後悔しています。

彼女に興味が出てきたので、参考文献があればあたりたいです。

知への賛歌――修道女フアナの手紙 (光文社古典新訳文庫)

知への賛歌――修道女フアナの手紙 (光文社古典新訳文庫)