ブックワームのひとりごと

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難病の人が一人暮らしをするということ―大野更紗『シャバはつらいよ』感想

([お]9-3)シャバはつらいよ (ポプラ文庫)

今日の更新は大野更紗『シャバはつらいよ』です。

前日譚的な存在である『困ってるひと』は既読です。

 

あらすじ

免疫性の難病にかかり、入院していた著者は一人暮らしを始めた。しかしその生活は困難極まるものだった。そして、故郷を襲った大地震。はたして著者はサヴァイブすることができるのか。

 

善意よりシステムを

『困ってるひと』でも困っていたけどこの本でもまだまだ困っています。

免疫系の病気のせいで肌が弱くなり、限られた種類の服しか着れなくなった、家を清潔にしないといけないのに自分で掃除ができない、食事制限で好きなものが食べられない、などなど……。

難病を見てくれる病院が限られているので、著者には故郷の福島に帰るという選択肢がありません。親はいるけれど、帰るところのない困難さは切実でした。

 

そのような過酷な現状を見て、著者に手を差し伸べてくれる人がいます。著者は感謝するとともに、善意だけに頼る危険性も述べています。

友人に頼り続けてしまい、疲弊させてしまった経験から、人の親切を受け取るときはこわごわ触れるようになっています。

継続的に生活を支えてもらう人たちは、あくまで「システム」の範囲で。

(P159)

人の心は変わるもので、「善意」がいつか負担になることがあります。経験者だからこそ、善意ではなくシステムで生活を支えようと訴えるくだりは説得力がありました。

 

困難ばかりの人生で、どうにか自分の生を勝ち取っていこうという姿勢がよかったです。難病のことは今日明日で解決するようなことではないけれど、著者のような人がいるだけで少し救われる思いがします。

著者にとって、「世の中に向けて文章を書く」という手段があったことは、幸運だと思います。生きていく限り続けていってほしいですね。

 

まとめ

難病とともに生きる難しさが辛かったですが、それでも前に進もうとするガッツがかっこよかったです。

この本の印税が入って、暖房費とか家賃になるといいですね。ハードモードの人生が、少しでも楽になりますように。

([お]9-3)シャバはつらいよ (ポプラ文庫)

([お]9-3)シャバはつらいよ (ポプラ文庫)

 

 

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