ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

【考察】「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」がえぐい ~主人公の座をめぐる戦いについて~

少女☆歌劇 レヴュースタァライト Blu-ray BOX3

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を見ました。

いろいろ考えたことがあった作品なので、今回は感想ではなく考察を。

すっごくネタバレしてるのでご注意ください。

あと舞台の方は見てないので、その辺の情報が入ってないけど許してほしい。

 

あらすじ

聖翔音楽学園に通って役者を目指す愛城華恋。クラスメイトと共に聖翔祭の準備を進める彼女は、謎のオーディションに巻き込まれる。そこでは、「トップスタァ」の座をめぐって舞台少女たちが戦っていた。

 

主人公補正の塊、華恋

最初に面白いと思ったのが、主人公、華恋が主人公補正の塊だということです。

オーディションにイレギュラーな存在として飛び入り参加し、順調に勝ち進み、日常パートでも無意識のうちに周囲を巻き込んでいく……しかし、彼女はもともと超優秀なキャラクターではありません。わかりやすいくらいの「主人公補正」。

しかしそれこそが、彼女が勝ち進めた所以なのだと思います。

「主人公補正」があったからこそ、彼女はスタァになれる才覚があった。キリンが彼女を待ち望んでいたのも、この能力があったからこそなんでしょうね。

そして最終話では、華恋はスタァライトの結末を書き換えてしまいました。

役者が結末を書き換える、そんなことってある!? って感じですが、それができるからこそ華恋はスタァライトの主人公たりえるのだろうなと思います。

 

 エゴが強いほうが勝つレヴュー

華恋に負けたキャラクターは、華恋の物語に組み込まれていきます。

舞台少女たちの情念がすごいので、最初は華恋に負けたらもっと恨んだり嫉妬したりするのかなと思ったんですけれど、舞台少女たちみんなあっさり引き下がるんですよね。それこそ最初からそうなることが決まっていたみたいに。

物語の「主人公」が別の「主人公」によって牙を抜かれ、彼女自身の物語に組み込まれていく。すごく業の深い展開で、うわーとなりました。

で、その勝ち負けは、「エゴの強さ」で決まっているんじゃないかなと思っています。

それは香子と双葉のレヴューでも顕著で、「薫子を追いかけること」を捨てられなかった双葉のほうが負けています。わがままな香子のほうが勝って、真面目で常識人な双葉が負けることに「え?」となったんですけど、エゴの強いほうだと確かに香子だわ……。

最終話で、華恋のひかりが戦うレヴューの終わりのシーンも、上着が落っこちてるのはひかりのほうなので、「勝った」のは華恋のほうなんでしょうね。ポジションゼロを得たのは、ふたりなんですけど。

 

観客としてのキリン

「分かります」っていうのも観客がキャラクターに感情移入することを示していたのかもしれません。それだと「分かる分かるって言ってるのに妙に冷たくない?」っていうのも納得がいきますね。観客は、共感や感情移入したってドラマチックな展開を望むものなので。

モチーフがキリンなのは、「首を長くして待つ」とか「高いところから俯瞰する」みたいな意味が込められているんでしょうね。

で、最終話で示された通り、キリン=観客(もとい視聴者)なんだろうなあ。

周りの演劇好きを見てると、役者を「推す」って役者の人生をエンタメとして消費する側面があると思います。それは観客も役者も納得してやっていることだと思うけれど、ある種危うい関係です。

キリンが画面の向こうに向かって話しかけてきたとき、「あなた彼女たちを消費してるんですよ」と言われた気がして怖かったです。

まさに「この世は舞台、人は皆役者」だよなあ……と思いました。

 

まとめ

そんなに鬱々としたストーリーではないんですけれど、よく考えるとすごくえぐい話だな!? と思いながら見ていました。

演劇の方は未見なので、それを見てからだとまた印象が変わるのかもしれません。