今日の更新は、「男性におすすめのエッセイ」です。
エッセイというと、どちらかといえば女性を対象にしたもののほうが多いので、男性が共感しやすいものを探すのはちょっと手間です。
私は女なので、 「これは男性が楽しめそうなネタかなあ」と思いながら選んでますが、多少ずれていても許してください。
- 『衝動買い日記』鹿島茂 中公文庫
- 『フフフの歩』先崎学 講談社文庫
- 『雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波少年文庫
- 『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』中島らも 集英社文庫
- 『こんなツレでゴメンナサイ』望月昭 文春文庫
- 『育児ばかりでスミマセン』望月昭 幻冬舎
- 『ダンナ様はFBI』田中ミエ 幻冬舎文庫
- 『不味い!』小泉武夫 新潮文庫
- 『そして生活はつづく』星野源 文春文庫
- 『世にも奇妙なマラソン大会』高野秀行 集英社文庫
- 『ワセダ三畳青春期』高野秀行 集英社文庫
- まとめ
『衝動買い日記』鹿島茂 中公文庫
フランス文学者の鹿島茂が、買ったものとそのときのシチュエーションを語っていく買い物日記。
「男だって買い物が好きなんだ」ということを全力で主張するエッセイです。それでいて、しょっちゅう買い物で失敗していることが笑えます。
文章や表現自体はお堅いのに、やっていることは衝動買いというギャップも面白いです。表現力のある人のギャグは面白いですね。
あとがき欄の「買ったものがその後どうなったか」のリストも好きでした。
『フフフの歩』先崎学 講談社文庫
棋士の交友関係や、勝負の世界に身を置くことの恐ろしさ、将棋以外のゲームを遊ぶ棋士たちの話を描いた将棋エッセイ。
将棋というゲームを仕事にするということは、綱渡りな部分が多いです。それを読んでいるとこちらもひやひやします。
といいつつ、明らかな失敗やだめな部分もあって、読者としてツッコミを入れたくなってしまいます。そこもこのエッセイの面白さかなと思います。
『雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集』中谷宇吉郎 岩波少年文庫
雪の結晶の研究で有名な物理学者、中谷宇吉郎。彼は科学や自然に対するエッセイも残していた。そんな彼のエッセイを子ども向けにまとめた本。
雪の結晶をサンプリングしたり、当時の超能力事件に意見を言ったり、科学者ならではのエピソードがたくさんあります。
わかりやすさとロジカルさが両立していて、大人が読んでも読みごたえがあります。科学の歴史に興味がある人におすすめです。
『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』中島らも 集英社文庫
コピーライターやエッセイスト、演劇の脚本家など、文筆業で活躍した中島らも。彼の生い立ちや、文章を仕事にするまでを描いた自伝的エッセイ。
笑えるけれどどこかアンニュイで、青春の鬱屈やままならなさを思い出しました。愚かさと賢さを両立させた彼だからこそ書けるエッセイだと思います。懐かしいけれど苦しい、そんな本です。
70年代の大阪の風俗が丁寧に描かれているので、出身が同じ人間として興味深かったです…
『こんなツレでゴメンナサイ』望月昭 文春文庫
うつ病を発症し、仕事を辞め専業主夫になった望月昭の闘病エッセイ。『ツレがうつになりまして』の番外編ですが、読んでいなくても大丈夫。
病気前の少しずつ歯車がずれていく自分や、ただ眠るしかできないうつ病の重い時期をも淡々と書いています。
苦しい気分の上下の中で、「こうあるべき」という固定観念から少しずつ解放され、一歩一歩前に進んでいく姿は希望が持てます。
うつ病の描写はつらいですが、とても優しいエッセイです。身の回りにうつ病経験者がいる人におすすめです。
『育児ばかりでスミマセン』望月昭 幻冬舎
うつ病をきっかけに専業主夫になった望月昭は、生まれてきた子どもも自分が中心になって育てることに。そのドタバタ生活とは……。
初めての育児に戸惑い、疲れながらもなんとか生活をこなしていこうとする著者は応援したくなります。それでも子どもは面白い! という明るさ、前向きさもあります。
海外との子育ての違いや、検診のことなど、分析的にクールに書かれてる部分もよかったです。物事を少し突き放して見れる人の文章だと思いました。
『ダンナ様はFBI』田中ミエ 幻冬舎文庫
結婚した相手は、FBIの捜査官だった。セキュリティについての夫の無理難題に翻弄されつつ、「安全」について考えさせられる夫婦エッセイ。
「日本一腕のいい錠前屋を探せ」「デパートでも居酒屋でも、トイレに入る前はFBI式にドア点検せよ」など、いろいろな要求をふっかけられる著者は大変そうです。でも、安全面からは正しいんですよね。
私たちは平和で治安のいい国にたまたま住んでいるんだな、と思わされる異文化エッセイでした。洋画などの、アメリカの文化に興味がある人にはおすすめです。
『不味い!』小泉武夫 新潮文庫
食べることが好きな著者が不味いものについて延々と語り続ける、逆飯テロエッセイ。
「どう考えても不味いのになぜ食べた」というものもあれば、おいしそうなのに不味かったものもあり、とにかく不味さの幅が豊富で面白いです。よくもここまで味の書き分けができるなあ。
不味いものを丁寧に観察し、味わい、エッセイとして残していく著者のまめさに笑ってしまいます。不味さの描写が妙にリアルなのも、笑いを誘います。
普通の飯テロ作品に飽きたときにはおすすめの一冊です。
『そして生活はつづく』星野源 文春文庫
俳優で音楽家の星野源が、日常のことや生い立ちのことについて語るエッセイ。
イケメンで音楽ができて演技もできて文章も書ける、という多彩な人なのに、公共料金を滞納してしまうだめなところがあることに驚きました。
コメディチックで笑えますが、世の中と考え方が少しずれている人の苦悩や生きづらさも描かれていてシリアスな部分もあります。少しずれているからこそ、人や自分を俯瞰して見ることができるのかもしれませんね。
笑って少し考えてしまうエッセイです。
『世にも奇妙なマラソン大会』高野秀行 集英社文庫
悪ノリしてアフリカの砂漠のマラソン大会に参加した話、インド入国のブラックリストを回避するために改名にチャレンジする話など、海外をテーマにしたノンフィクション集。
著者の行動に笑いつつ、ときどき彼の鋭い洞察にはっとさせられることがあります。ギャグとシリアスのバランスが素晴らしい。頭のいい人の書く文章だなと思いました。
著者がバイの男性に泊めてもらった話は、なぜ女性が知らない男性からの好意をを警戒するのかということを説明するのに最適なので、ぜひ男性には読んでほしいです。
『ワセダ三畳青春期』高野秀行 集英社文庫
早稲田近くのおんぼろアパートに暮らし、ばかなことばかりしていた青春時代を、著者が振り返る。
若さゆえのばか騒ぎを描きつつ、最後の方になるとモラトリアムの次にあるものに悩み、戸惑う著者が見られます。そこが切ないような懐かしいような気持ちでした。
終わり方はまさに「卒業」といった感じで、少しの寂しさとともに爽やかさを感じました。
巨大大学早稲田大学の文化もいろいろ見れるので、興味がある人はぜひ。
- 作者: 高野秀行
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/04/17
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まとめ
男性におすすめのエッセイまとめ、いかがでしたでしょうか。どれも面白いものばかりです。
気になるものがあれば、ぜひ読んでみてくださいね。