ブックワームのひとりごと

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描写は好きだけどちょっと物足りない―乾緑朗『機巧のイヴ』感想

機巧のイヴ (新潮文庫)

今日の更新は、乾緑郎『機巧のイヴ』です。

レビューを見かけて面白そうだったので読んだ本。

 

あらすじ

江戸風の世界。天府という首都に、伊武(いう゛)という人形がいた。彼女は人間のようにふるまい、人間のように話すことができる。伊武には、天帝家にまつわる秘密が隠されていた……。

 

面白いけどちょっと物足りない

結論から言うと、ちょっと物足りなかったです。

江戸風の世界観がきっちり書き込まれているのに、機巧の仕組みがかなりがばがばに設定されているのが気になりました。最初からある程度ファンタジー要素があるものとして書かれていれば、そんなにツッコまなかったけれど。

あるいはそもそも「なんでもあり」な世界観だったらこれほど違和感はなかったかもしれません。

あと、どんでん返し的な展開がいくつかあるんですが、それに至る伏線が弱かったなと……。「なるほど」と思えるものでなければ劇的な展開はきついですね。

 

ただ、「江戸風の世界観でからくりパンク」という発想そのものは面白かったです。専門的な用語が多いけれど、情景を簡単に思い浮かべられる描写力を感じました。

キャラクターの動詞の関係性も情緒的で、なかなかぐっときました。天帝と春日の二人三脚の関係性や、オートマタ伊武(いう゛)と周囲の男たちのあれこれも、業が深くてよかったです。

伊武の、優しいけれど若干魔性の女なところはいいなと思います。人でないからこその魅力ですね。

 

全体的に、もう少しで私好みの話になるのになあと思いつつ、微妙に惜しい感じでした。

ただ単純に私には合わなかっただけなので、好きな人は好きだと思います。

 

まとめ

ストーリーや設定が私には合わなかったけれど、キャラクターや描写は面白かったです。

好きな人は好きなのではないでしょうか。

機巧のイヴ (新潮文庫)

機巧のイヴ (新潮文庫)