今日の更新は、『あやかし双子のお医者さん』についてです。
布教用記事というのが需要があるっぽいので、ネタがある限りはときどき書いていきます。
この、『あやかし双子』はドキドキハラハラしたり伏線が巧妙だったりするタイプの作品とはちょっと違うんですが、気長にぼちぼち続いてほしいなと思っています。
あらすじ(公式サイトから転載)
肝試しを境に居なくなってしまった弟を捜すため、速水莉莉は不思議な事件を解くという噂を頼ってある雑居ビルへやって来た。彼女を迎えたのは双子の兄弟。不機嫌な兄の桜木晴と、陽気な幽霊の弟・嵐で……!?
わかり合えなくても手を差し伸べる
この作品の好きなところは、「人と人を簡単にわかり合わせない」というところなんですよね。
一応はほのぼのなので、最後には丸く収まることが多いです。でもそこで、キャラクターがキャラクターに安易に同情したり共感したりしない。悪いことは悪いとはっきり言うし、ラストまで相手を許さないこともあります。
たとえばあやかしを殺して回ろうとする吉野に、主人公の莉莉はドン引きしていました。彼は長い間一緒に仕事をしてた相棒を、あやかしに殺されたため、復讐のためにそうしているのですが、それを知っても莉莉は彼に同情はしません。吉野の事件が終わったあと彼に合っても、どこか警戒を解きません。
しかし、莉莉とその師匠の晴は、「こいつ嫌なやつだな」「怖いな」と思いつつも、助け船を出したり、していることを止めようとしたりします。
人と人は簡単にわかり合えるわけじゃない。相手のすべてを理解することはできない。でも、わかり合えなくても手を差し伸べることはできるよね。
そういうところが逆に誠実で、やさしい人間観だなと思います。
つながりすぎてしまう人たちが心配
一方で、このシリーズは「つながりすぎてしまうふたり」も書いています。
莉莉と猫股のリヒトもそうですし、タイトルに入っている「双子」の晴と嵐、吉野とその相棒など、それらの関係性は非常に硬く、ロマンチックです。しかし、それと同時に危うさもあります。
たとえば生死の境を超えて繋がっている晴と嵐は、同業者にあまりよく思われていないようで、ときどきそのことが示唆されます。
それに嵐は割と物騒な男なので、そういう意味でも心配です。彼はあまり人間に興味のない幽霊ですが、その代わり、大事なものが傷つけられると容赦はしない性格です。
嵐自身もそうなんですけど、こういう危険なところがあると知っていて、傍に置いておく晴もちょっと怖いところがあります。
今後、その危うい関係性のバランスが崩れることになったらどうするのかな、と心配なような楽しみなような気分です。
まとめ
ぼちぼちと続いてほしいシリーズなので、興味があったら買ってください。
とりあえず、双子の関係がほんのり不穏なのが気になっているので、そこがどうなるか読みたい……。はたしてこの関係にオチはあるのでしょうか。
あやかし双子のお医者さん 一 ばけねこと鈴の記憶 (富士見L文庫)
- 作者: 椎名蓮月,新井テル子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/12/15
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