今日の更新は、『ヘアスプレー』です。
友人におすすめされて見た映画。
あらすじ
デブでちびなトレーシーは、ヘアスプレー会社が提供しているダンス番組に憧れている。番組のメンバーに欠員が出たため、オーディションをすることになった。トレーシーはそれを受けようとするが……。
いい人だから差別をしてはならないのか?
わいわいにぎやかな雰囲気で、時間を感じさせない映画でした。
ストーリー上強引なところもあったけれど、歌って踊る部分の演出がテンポよくて、あまり気にはなりませんでした。
太っているトレーシーとその母親が、踊り狂うのはなんだか新鮮で面白かったです。すごく楽しそうで、踊れることがうらやましくなります。
60年代の風景もポップでかわいらしいです。ハイウエストのワンピースや、にぎやかな柄の服が見ていて面白かったです。
ただ、この作品、差別に対する描写がすごく浅いんですよね。
たとえばストーリーに出てくる黒人たちが聖人君主みたいにいい人ばかりなんですよ。そういう人たちが「黒人文化って素晴らしい」みたいな歌を歌うんです。
でも、人種差別って「実はいい人だから差別しちゃだめ」っていうものではなく、「たとえ相手が悪人であっても、行いによって判断されるべきで、肌の色が判断基準になってはいけない」というものだと思うんですよ。
トレーシーが惚れるのが白人のイケメンのリンクなのも、「デブでもいいとか言っておきながら結局顔がいい男が好きなんじゃないか」って感じだし。もっと人格に惚れている描写があれば別だったんですけれど……。
悪役として描かれている女性陣もテンプレに過ぎます。差別って言うのは悪人がするから恐ろしいのではなくて、普通の人がするから恐ろしいんですよ。差別をする人としない人の二項対立ではありません。
映画自体は面白いとは思うけど、これを「人種差別を描いていて素晴らしい」とは思えませんね。
もちろんこれを見て前向きになれる、優しくなれる人もいるかもしれないので、無駄ではないとは思いますけれど。
まとめ
ミュージカル映画としては面白かったんですけど、「差別をなくそう」というテーマとして見ると物足りないなと思いました。
逆に言えば、物語の中の「差別」はここ十年でかなり進歩した描き方になっているのかもしれません。