一度、あさま山荘事件の本は読んでみたかった。
あらすじ
学生運動の過激派、連合赤軍がひとりの女性を人質に「あさま山荘」という保養所に立てこもった。警察官である著者は、人質の奪還と事件の解決を目指して機動隊やほかの警察官の指揮を執った。警察から見た、「あさま山荘事件」のノンフィクション。
セクショナリズムに満ちたあさま山荘事件
まず、この時代の若者の血の気の多さにびっくりします。
そして周囲も、同族殺しのリンチ事件を起こすまでは、学生運動に同情的だったのも意外だなあと思います。
「戦後の日本は平和だった」というのはあくまで海外との関係の話で、これは内乱といっていいくらいのできごとだったんですね。
警察視点の話なので、犯人たちへの同情は全くなく、徹頭徹尾犯罪者として扱っています。
そういう意味で一面的ではありますが、これはこれでわかりやすいです。
興味深かったのはセクショナリズム(なわばり根性)の話です。警視庁がカップラーメンを入手したとき地元の警察にあげなかったり、お菓子を配るとき自分と同じ所属でないひとは飛ばしたり、小学生みたいなことをやっていました。
でもこういうの、地味にイラっと来ますよね。しょうもないことなんですけれど。
今はこの妙なセクショナリズムはだいぶましになったらしいんですけど(公務員の知り合い談)、この時代はひどかったんだなと思いました。
そしてこのセクショナリズムが、じわじわと事件解決の足を引っ張ります。生々しいですね。
疲労困憊しながら極限状態で指示を出し続けるしんどさは文章からひしひしと伝わってきました。犠牲者を出した以上、勝利とは言えない結末だったのですが、それでも読み終わったときはほっとしました。
まとめ
過酷な状況を描いた本なので面白いと言っていいのかわからない本ですが、本でもなければこういうことを知る機会がないので勉強になりました。
また、機械があったら連合赤軍について調べてみたいです。
警察について興味がある人は、こちらの本もどうぞ。
違法な動物の密輸入を取り締まる部署のノンフィクションです。