ブックワームのひとりごと

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親と暮らせない子どもを引き取った夫婦たち―村田和木『「家族」をつくる―養育里親という生き方』

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「家族」をつくる―養育里親という生き方 (中公新書ラクレ)

今日の更新は、村田和木『「家族」をつくる―養育里親という生き方』です。

家族制度について調べる流れで、里親家庭にも手を伸ばしてみることにしました。

 

あらすじ・書籍概要

事情があって親と一緒に暮らせない子どもたちに家庭を提供する「里親制度」。実際に里親になった夫婦のエピソードを紹介し、家庭で育つことの重要さ、子育ての難しさを語る。

 

溺れている人に浮き輪を投げるように

里親制度は「子どもがほしい夫婦のため」というより、「家庭に恵まれない子どもたちに安心して育つ環境を提供する」ものというのが前提。

そのことは伝え聞いていて知っていましたが、実際にエピソードを読んでみると本当に大変なことがわかりました。

問題なく育つのはごく一部で、赤ちゃん返りや過食、さらには非行、情緒の不安定さなど問題が山積みです。親にネグレクトされたり虐待されたりした子どもたちは、周囲の大人を素直に信頼することができません。「頼れる大人がいるのだ」ということをなんとかわからせるのが里親の役割です。

里親にはある程度手当が出るとはいえ、ボランティア的な側面が非常に大きいです。それでも「家庭を必要としている子どもたちがいる」と知った夫婦たちは、彼らを受け入れます。それは博愛精神というよりも、溺れている人に浮き輪を投げるとっさの行動に見えました。

 

一方で、里親募集のポスターはよく見かけますが、里親になってからのサポートは不十分なところがあることがわかりました。少し前の本だから、現在多少は改善されている可能性がありますが。

ボランティア精神でやっているとはいえ、里親も人間です。本の中には非行を繰り返す里子に悩むあまりに「この子を殺してしまうのではないか」と考える里親もいました。追いつめられる前に、相談したり援助したりするしくみがあればいいと思います。

 

まとめ

里親になった人々のエピソードがまとめられていて参考になりました。

情報量もちょうどいいし、里親について調べてみたい人にはおすすめです。

「家族」をつくる―養育里親という生き方 (中公新書ラクレ)

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里親になる人のためのワークブック

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