今日の更新は、『ビブリア古書堂の事件手帖』感想まとめ記事です。
といっても3巻以前はブログを作る以前に読んだので、4巻からです。
あらすじ
本が読めない体質の五浦は、栞子の経営する古書店ビブリア古書堂で働くようになる。本の知識にあふれ、推理力のある栞子のもとへは、さまざまな「本に関するちょっとした事件」が持ち込まれる……。
感想記事一覧
乱歩をリスペクトした現代ミステリが楽しい―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』感想
本からわかる人間の多面性―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時』感想
いつもの古書堂だけどちょっとオチが不満―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ』感想
忠誠をささげた道化の知恵比べ―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~』
総評
正直すごく好き、というタイプの作品ではないのですが、なんだかんだで最後まで読んでしまいました。それはやはり著者の実力ゆえなのでしょうね。
古書知識と謎解きがうまく組み合わさったストーリーは、さくさく読めて爽快感がありました。
一方で、本を取り巻く人々の感情はどろどろしています。嫉妬や恨み、後悔、失望。そのようなネガティブな感情を扱いつつ、少し突き放して描き出していきます。
栞子も五浦も、基本的に説教めいたことは言わずに、静かに醜い感情を扱っているところがよかったです。
謎解きのあざやかさと、人の心の闇の対比に惹かれて最後まで読んでしまいました。
個人的には4巻が一番面白かったです。私自身が乱歩好きなのもあるけれど。独特の闇が「乱歩っぽい」展開で燃えました。オマージュにはそれっぽさって大事ですね。
あと栞子と五浦のじれじれした恋愛模様はかわいかったです。お互いに思い合い、なおかつ貞操観念がめちゃくちゃ強そうなところがほほえましい。素直に応援したくなりました。
栞子は危ういところもありますが、五浦がパートナーなら大丈夫だろう、と思える信頼関係がありました。末永くお幸せに。
派手な作品ではないですが、題材を堅実に調べ再構成して作られたシリーズでした。売れるのも納得がいきます。
だからこそ、「好みじゃないけど楽しめた」という感想が持てたのだと思います。
まとめ
のんびり読み進めて楽しみました。とりあえず栞子には幸せになってほしい。
好きなジャンルではないのに、読ませる作者の実力はすごいと思います。また気になる作品が出たら読みたいです。
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