今日の更新は、須賀しのぶ『アンゲルゼ ひびわれた世界と少年の恋』です。
あらすじ・書籍概要
次々に能力を覚醒させていく陽菜。彼女自身の体にも、ある変化が訪れていた。陽菜の行動を不審に思う覚野は、研究会を立ち上げてアンゲルゼのことを調べ始める。彼がアンゲルゼに固執する理由とは…。
頭のいい少年の強がりが愛しい
覚野の恋愛感情は、こんな状況でなければめちゃくちゃ萌えるところでした。でもこんな状況でなければ成立しない行動だからなあ……。
陽菜への強い思いがとらせた彼の行動は、ひどくロマンチックでもあり恐ろしいです。彼にとっては最善のつもりではありますが。
中学生とは思えないほど冷静で頭がいいのに、年相応の矛盾や強がりを抱えているところが覚野の魅力ですね。
時代や状況が彼の恋慕を妨げる。読んでいてつらいんですが、こういう話は正直なところ好きです。須賀しのぶはつらい恋を書かせると容赦がないので好きです。
謎の司令官、敷島の秘密も少しずつ明かされてきました。気苦労はわかるけど若干ねじが外れたところも感じます。彼なりの防衛反応なのでしょうか。
確かに悪人ではないんだけれども、許せるかというと個人的には微妙ですね。もっと周りは敷島を恨んでもいいと思います。でも、恨んでいた子たちはみんな死んでいったのかもしれませんね。
自分が望まなくても修羅の道を進まなければならない陽菜。気弱だった彼女がどんどんたくましくなるのはうれしい反面、子どもがそんなに強くならなくてもいいよと言ってあげたくなります。
ゆっくりと大人になるはずだった子が、無理やり大人にされていくのはつらいです。
でも、そんなつらい状況に頼らざるを得ないような世界なんですよね。
まとめ
ときめくんだけれどこれときめいていいのか? というくらいにつらい話です。
でもそんな話に魅力を感じてしまう人種でもあるんですよね。しょうがないな。
最終巻まで駆け抜けます。