今週のお題「2019年上半期」
今日の更新は、2019年上半期に読んだ面白かった本です。
このところ昔好きだった本を読み返すことに凝っていたので、新しく好きになった本が多くありませんでした。
結果的にこのまとめも数が少なくなっています。そういう時期もある。
それでは、続きからお読みください。
- 『「家族」をつくる―養育里親という生き方』村田和木 中公新書ラクレ
- 『活かそう! 発達障害脳 「いいところを伸ばす」は治療です』長沼睦雄 花風社
- 『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』筒井淳也 光文社新書
- 『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ ハヤカワ文庫
- 『コンビニ人間』村田沙耶香 文春文庫
- 『高校生のためのゲームで考える人工知能』三宅陽一郎・山本貴光 ちくまプリマー文庫
- 『言鯨16号』九岡望 ハヤカワ文庫
『「家族」をつくる―養育里親という生き方』村田和木 中公新書ラクレ
家族と暮らせない子を引き取り、育てる養育里親になった夫婦たちの奮闘を描く。
血のつながらない訳ありの子を引き取ることによる軋轢、そしてそれを乗り越えて生まれる喜びが印象的でした。
善意だけではやっていけないけれど、善意がなくてはやっていけない。そういう制度だと思いました。
『活かそう! 発達障害脳 「いいところを伸ばす」は治療です』長沼睦雄 花風社
発達障害の人の脳のしくみ、その対策方法を対談形式で記す本。
脳のしくみから「困りごと」を緩和し、日常生活をしやすくする試みは面白かったです。
ただ私に科学知識がないので少々読みにくかったです。機会があればほかの本と読み比べもしてみたいです。
『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』筒井淳也 光文社新書
結婚の歴史を振り返りつつ現代の「結婚制度」分析、をその問題点について語る。
「共働き社会が格差を広げる」という非常に暗くなる情報を教えてくれるこの本。しかし時計の針は元に戻せないのもまた事実。
せめて少しでも生きやすくなるように、あがくだけあがくしかないなと思いました。
『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ ハヤカワ文庫
行方不明になった両親を追う探偵は、子どものころ暮らした上海租界の地を再び踏む。
最初はだらだらした小説に感じたけれど、ラストで一気に話を畳んでいって舌を巻きました。
あがなえない罪を背負って、ごまかして、嘘をついて、それでも生きていく人の物語でした。
『コンビニ人間』村田沙耶香 文春文庫
コンビニでバイトを続けている主人公。自分では安定した生活だと思っているが、周りがそれを許してくれず……。
目的のためには手段を択ばないサイコパスな主人公。しかし彼女をとりまく社会もまた、異常でした。おかしくはあるけれどおだやかに暮らしたがっている主人公を異端視し、排斥します。
果たしてどちらが正しいのか? と考えさせられた話でした。
『高校生のためのゲームで考える人工知能』三宅陽一郎・山本貴光 ちくまプリマー文庫
コンピューターゲームを題材に、プログラミングによって「知性」を生み出すとはどういうことかを解説する。
プログラミングの仕事というものにぴんときていなかったのだけれど、この本を読んでそのとっかかりができた気がします。簡単ではないけれど、懇切丁寧に教えてくれているので頑張って読んだ本でした。
『言鯨16号』九岡望 ハヤカワ文庫
砂で満ちた惑星。言鯨の死体を拾う骨摘みの青年が、あこがれの学者と出会ったことをきっかけに世界の真実に触れてしまう。
砂の惑星を舞台にした三人道中、ロマンチックな世界の秘密、言葉が重要なキーになるところ、すべてが面白かったです。
終わり方は切ないけれど、それでも少しの希望が心地よかったです。
過去の上半期・下半期面白かった本の記事はこちら。
横浜駅SF、家族喰い、天盆。2017年下半期面白かった本21選
魔術師、看護師、フェンシング 2018年上半期面白かった本14選
蝶のいた庭、ブラックカルチャー、うつ病九段 2018年下半期に読んだ面白かった本11選