今日の更新は、荻原規子『空色勾玉』です。
あらすじ・書籍概要
羽柴の村の少女狭也は、輝の大御神の子である半神、月代王(つきしろのおおきみ)に見初められ、采女として都に上がる。だが彼女は、闇の眷属だった。狭也は神殿に戒められた少年、稚羽矢と出会う……。
過酷な戦争の中でのガールミーツボーイ
久しぶりに読んだら「こんなに人が死ぬ作品だったっけ?」とびっくりしました。
読み返さないと心の中のイメージが固まってしまうものですね。
何度も生まれ変わって地上に現れる闇の氏族と、不死の体を持つ照日王、月代王、のふたりの御子。それが長い長い時の間争いを続け、多くの人々が死んでいく。そんな世界に狭也は「水の乙女」として生まれます。
そんな過酷な状況の中から、不思議な少年と出会うガールミーツボーイ。閉じ込められて世界を知らない稚羽矢は、狭也と触れ合っていろいろな感情を培っていきます。その姿にほっこりする一方で、闇の氏族をめぐる状況はどんどん悪くなっていきます。これからどうなるの! と心配しながら読み進めていました。
でもだからこそ、苦しい状況を駆け抜け、新しい時代を切り開いた主人公ふたりがいとおしくてかっこいいです!
半神が国を治めていた時代は終わり、死ぬべき定めの者たちが国を作る。物語の結末としては最高のものではないでしょうか。まさに神話だなあと思います。
輝の大御神の御子ふたりのキャラクターもまさに「神」という雰囲気で恐ろしく、かっこよかったです。
人間のことなんてなんとも思っていないように見えて、ふとした瞬間に情をかける。しかし二分後には「やはり人間ではないのだ」と思う瞬間がやってくる。
人型人外好きとしては、こういうキャラクター設定すごく好きです。自分が作中人物だったら絶対に近寄りたくないけれど。
まとめ
久しぶりに読んだらだいぶ内容を忘れていて、でもそれが面白かったです。
薄紅天女も機会があったらもう一度読んでみたいですね。